「化学基礎はここまで出る」高卒認定試験の試験範囲

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高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の化学基礎の試験範囲はかなり広いのですが、臆する必要はありません。試験には素直な問題しか出ないので、それぞれの項目の基礎さえ押さえておけば確実に得点していくことができます。この記事では過去に実際に出題された問題もみていきます。

化学基礎の試験範囲とは

高卒認定試験の化学基礎の試験範囲は大きく「化学と人間生活」「物質の構成」「物質の変化」の3つにわかれ、その3つのなかにさらに細かい項目があります。

化学と人間

化学と人間では、次の内容を学びます。
・化学と人間生活とのかかわり(人間生活の中の化学、化学とその役割)
・物質の探究(単体・化合物・混合物、熱運動と物質の三態)
・化学と人間生活に関する探究活動

この分野は、人間の普段の生活の化学現象を学ぶので、初めて本格的に化学を学ぶ人にとっても理解しやすいでしょう。

物質の構成

物質の構成では、次の内容を学びます。
・物質の構成粒子(原子の構造、電子配置と周期表)
・物質と化学結合(イオンとイオン結合、金属と金属結合、分子と共有結合)
・物質の構成に関する探究活動

周期表やイオン、結合といった「化学らしい」知識を身につける必要があります。ここは少し苦労するかもしれません。

物質の変化

物質の変化では、次の内容を学びます。
・物質量と化学反応式(物質量、化学反応式)
・化学反応(酸・塩基と中和、酸化と還元)
・物質の変化に関する探究活動

この分野では計算問題が出てきたり、物質量「モル(mol)」が現れたりと、日常生活と結びつけにくいことを学んでいきます。ただあせる必要はなく、「基本や基礎しか出題されない」ことを忘れずに、知識を確実に記憶に定着させていきましょう。

過去問から推測する難易度

それでは過去に実際の高卒認定試験の化学基礎で出題された問題を紹介します。

問い

次の化学反応式からわかる量的関係の記述として正しいものはどれか。下の1~5のうちから一つ選べ。

C + O2→ CO2

1:1molの炭素と1 molの酸素が反応し、2 molの二酸化炭素が生成する
2:1molの炭素と2 molの酸素が反応し、3 molの二酸化炭素が生成する
3:2molの炭素と1 molの酸素が反応し、2 molの二酸化炭素が生成する
4:2molの炭素と2 molの酸素が反応し、3 molの二酸化炭素が生成する
5:2molの炭素と2 molの酸素が反応し、2 molの二酸化炭素が生成する

答えは5ですが、なぜ5が正解になるのかしっかり押させておきましょう。

1molとは6.02×1023個の集団のことです。
molのことを物質量といいます。6.02×1023個のことをアボガドロ数と呼びます。

1個のプチトマトは1個と数えますが、100個のプチトマトが1袋に入っていて、その袋が100袋あったら「100袋のプチトマト袋」と表現します。
したがって「10,000個のプチトマト」=「100袋のプチトマト袋」という関係になります。
プチトマトが10,000個もあったら数えるのが大変ですが、100袋なら簡単に数えることができます。

これがmolの考え方です。 化学では「1mol=6.02×1023個の集団」と考えます。
石が6.02×1023個があっても「石が1molある」といい、原子が6.02×1023個があっても「原子が1molある」といいます。
原子はとてつもなく数が多いので、アボガドロ数でひとくくりにして数えようと考えたわけです。

6.02×1023個というとても変わった数字は、質量数12の炭素(12C)が12gあるときの炭素原子の個数のことです。数式で表記するとこうなります。
12Cが12gある=12Cが6.02×1023個ある=1molある

さて設問ですが、「C + O2→ CO2」が「炭素と酸素が反応し二酸化炭素が生成する」ことを意味しているのは理解できると思います。
これを「1molのCと2molのOを集めると、1mol+2mol=3molなので、3molのCO2ができる」と勘違いしてしまうと、選択肢2「1molの炭素と2 molの酸素が反応し、3 molの二酸化炭素が生成する」を選んでしまいますが、それは間違っています。

ここは1molのCと1molのO2が合わさって1molのCO2ができあがった、と考えるのです。したがって5の「2molの炭素と2 molの酸素が反応し、2 molの二酸化炭素が生成する」が正解になります。

クレープを例にして、かみ砕いて解説します。クレープ生地1枚に、バナナ2本を入れて、1個のクレープをつくるとします。このとき、クレープ生地10枚と、バナナ20本を使うと、クレープは何個できるでしょうか。もちろんクレープは10個できます。

クレープ10個は、クレープ生地10枚とバナナ20本でできていますが、次のようには計算しません。

×:クレープ生地10枚+バナナ20本=クレープ30個

正しい計算式は次のとおりです。

◎:クレープ生地10枚+バナナ20本=クレープ10個

ここでバナナ2本をバナナ・セット1個と置き換えると、次のようになります。

◎:クレープ生地10枚+バナナ・セット10個=クレープ10個

この式は、下の式と同じです。

5:2molの炭素と2 molの酸素が反応し、2 molの二酸化炭素が生成する

炭素、酸素、二酸化炭素と考えると難しいイメージを持ってしまいますが、クレープで考えると簡単に答えを導き出すことができます。

まとめ

化学はとても難しい学問ですが、高卒認定試験の化学基礎は深いところまで問われません。ごく初歩的なことが問題に出ますので、教科書をじっくり読みましょう。

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