「地学基礎はここまで出る」高卒認定試験の試験範囲

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地学は宇宙や地球を扱うので「難しそう」「どこから勉強すればいいのかわからない」と感じるかもしれませんが、高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は基礎問題しか出ないので、意外に学習しやすい分野です。この記事では高卒認定試験の地学基礎の出題範囲を紹介したうえで、過去に実際に出題された問題から難易度を推測してみます。

地学基礎の試験範囲とは

地学基礎は大きく「宇宙における地球」「変動する地球」の2つの領域にわかれ、それぞれの領域でさらに細かい項目にわかれています。

宇宙における地球

宇宙における地球では、さらに次の項目にわかれます。
○宇宙の構成
・宇宙のすがた・太陽と恒星
○惑星としての地球
・太陽系の中の地球・地球の形と大きさ・地球内部の層構造
○宇宙における地球に関する探究活動

変動する地球

変動する地球では、さらに次の項目にわかれます。
○活動する地球
・プレートの運動・火山活動と地震
○移り変わる地球
・地層の形成と地質構造・古生物の変遷と地球環境
○大気と海洋
・地球の熱収支・大気と海水の運動
○地球の環境
・地球環境の科学・日本の自然環境
○変動する地球に関する探究活動

項目のタイトルを読むだけで、地学はロマンあふれる学問であることがわかります。勉強を始めるとのめり込む人がいるのもうなずけます。

過去問から推測する難易度

それでは過去に実際に高卒認定試験の地学基礎で出題された問題をみてみましょう。ほとんど教科書に書かれてあることがそのまま出ていることがわかります。

設問

宇宙の歴史はとても長く、その誕生は約138億年前にさかのぼるとされる。図1は、138億年間を1年(365日)として、いくつかのできごとをカレンダーに表したものである。
はじめに宇宙の始まりであるビッグバンが1月1日0時に起こったものとする。その直後には中性子と、水素の原子核である「A」が形成され、これらが集まって「B」の原子核となった。
最初の恒星の誕生(135 億年前)は1月8日にあたり、最初の銀河の誕生(133 億年前)は1月14日となる。このように、宇宙を構成する最初の恒星や銀河は、1 月前半に誕生したことがわかる。その後、太陽が46億年前に誕生するなど、宇宙は非常に長い時間をかけて現在に至っている。

1月

1月1日 ビッグバン(138億年前)

1月8日 最初の恒星の誕生(135億年前)

1月14日 最初の銀河の誕生(133億年前)

2月

3月

4月

 

5月

6月

7月

 

8月

9月

10月

11月

12月

現在

問1

宇宙の誕生(ビッグバン)が 138 億年前とすると、図1の1ヵ月は平均しておよそ何億年間に相当するか。最も適当なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。
1:3億年間
2:6億年間
3:12億年間
4:24億年間

答えは3です。
138億年を12ヵ月で割ります。「138億年÷12ヵ月」を計算すると1月あたり11.5億年間となり、最も近いのが3の12億年間となります。

問2

図1の1月1日に起こったビッグバンについて説明した文として最も適当なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。
1:宇宙が誕生した時は、低温・低密度であった
2:宇宙が誕生した時は、低温・高密度であった
3:宇宙が誕生した時は、高温・低密度であった
4:宇宙が誕生した時は、高温・高密度であった

答えは4です。ビッグバンは宇宙の始まりで、大爆発のことです。
宇宙は最初、超高温、超高密度の点でした。大爆発が起きた直後の温度は、1兆℃もありました。現在の太陽ですら表面が6,000℃、中心部でも1,500万℃です。宇宙の最初の温度はそれをはるかに上回ります。

高密度とは「物質がぎゅうぎゅうに詰まっている」状態です。宇宙は今現在、膨張しています。膨張しているということは、元は縮まっていたということです。宇宙ができたときは一点に集まっていました。つまり高密度だったわけです。

問3

(ビッグバンの直後には中性子と、水素の原子核である「A」が形成され、これらが集まって「B」の原子核となった)
文中のAとBに入る語句の組合せとして最も適当なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。

 

A

B

1

陽子

炭素

2

陽子

ヘリウム

3

電子

炭素

4

電子

ヘリウム

答えは2です。
これは記憶が頼りになる問題です。次の3つを覚えておいてください。

宇宙が誕生したころ(ビッグバンの直後)は光、ニュートリノ、電子、陽電子、陽子、中性子しかなかった

その後、水素、ヘリウム、リチウムができた

原子は、原子核と、その周りを回っている電子から成り立っていて、原子核には陽子と中性子が詰まっている

この問題は難しいでしょう。このような問題も、まれにではありますが高卒認定試験に出ます。しかし難しい問題は、わからなくてもあせる必要がありません。簡単に解ける問題を落とさなければ、合格点には十分到達できるからです。

問4

図1において、太陽が誕生した時期として最も適当なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。
1:ア
2:イ
3:ウ
4:エ

答えは3です。
この問題を解くには、太陽が誕生したのが46億年前であることを知っていなければなりません。そして問1を正答しなければなりません。問1で図1の「1ヵ月」は12億年であることがわかっています。ウは今から「4ヵ月前」なので、4×12で48億年前です。これが46億年前に最も近い数字です。

まとめ

地学は好き嫌いがわかれる教科です。学習しながら宇宙や地球に思いをはせることができると、勉強しながら知ることの喜びを味わうことができます。地学に挑戦する人は、ぜひ「宇宙ってなんだろう」「地球ってどうなっているんだろう」と想いながら勉強してみてください。

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