「現代社会はここまで出る」高卒認定試験の試験範囲

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「高卒認定試験は難しくない」といわれているのは、試験範囲が決まっているからです。出題される問題はともて素直な内容で、ひっかけ問題はほとんど出ません。したがって、決められた勉強量をこなせば合格を手にすることができます。現代社会の試験範囲について解説します

大体このようなことが問われます

高卒認定試験の現代社会では、大体次のようなことが問われます。

<環境問題>
環境問題とは、洪水や干ばつなどの異常気象や海面上昇による島の水没の原因となっている地球温暖化問題などのことです。地球温暖化を招いているのは、温室効果ガスの排出量が増えているからです。そこで世界では、二酸化炭素やフロンなどの温室効果ガスの排出量を減らす取り組みが進んでいます。

<資本主義と社会主義の違い>
資本主義は、利益を得るために自由に競争する経済活動のことです。国や政府は公正、公平な競争が保たれるように調整するだけで、あとはあまり介入しないほうが、市場(しじょう)がうまく回って経済が活性化すると考えるのが資本主義です。日本やアメリカなどは資本主義国です。

一方の社会主義は、資本主義による競争の激化と格差の拡大を小さくするために生まれた考え方です。国や政府が積極的に市場に介入して、生産や流通、販売をコントロールして、国民に富を公平に分配します。中国やロシアは社会主義国です。 高卒認定試験の現代社会では、その他に、産業構造の高度化、社会保障、日本国憲法、国会・内閣・裁判所、地方自治、政党と選挙、国際政治などが出題されます。

過去問をみてみよう

それでは実際に、過去の高卒認定試験で出題された現代社会の問題をみてみましょう。

次の会話文を読んで【問い】に答えよ。

 

美保:明日からコース選択の面談だね。祐介君は文系か理系か決めた?

 

祐介:うん、文系に決めたよ。X大学の政治経済学部が第一志望だから。

 

美保:もう具体的に大学まで決まっているんだ。私はまだ全然。

 

祐介:でも中学時代、薬剤師になりたいって言っていたよね。薬学部なら理系でしょう。

 

美保:うん、薬学部と文学部で迷っているんだ。実は以前から趣味で小説を書いているんだけど、先日思い切ってある賞に応募してみたら、運良く入選したの。

 

祐介:えっ、知らなかった。すごいね。

 

美保:自分でも驚いたんだけど、それで少し自信が持てたんだ。小説家を目指そうかなって。だからもっと良いものを書くために、大学で本格的に文学を勉強したいと思ったの。でも薬学にも興味があるし、薬剤師の仕事もやり甲斐があると思うから、決められなくて。

 

祐介:やりたいことが何も見つからないより、複数あって悩むのはむしろ良いことじゃないかな。まさにこの前「現代社会」の授業で教わった葛藤にあたるよね。

 

美保:ああ、覚えている。同時に満たすことができない二つの欲求の間で、揺れ動く心理状態のことだよね。

 

【問い】

下線部分「葛藤」について、次の葛藤のパターンA~Cと、具体例ア~エとの組合せとして適切なものを、下の【選択肢】の1~4のうちから一つ選べ。

 

●葛藤のパターン

A:回避-回避

B:接近-回避

C:接近-接近

 

●具体例

ア 宿題はやりたくないが、先生に叱られるのもいやだ。

イ アルバイトを始めたいが、部活動も続けたい。

ウ ギターをうまく弾けるようになりたいが、基礎練習はやりたくない。

エ 新しいスマートフォンが欲しいが、お金がなくて買えない。

 

【選択肢】

1:A-ア B-イ C-エ

2:A-ア B-ウ C-イ

3:A-ウ B-ア C-イ

4:A-ウ B-イ C-エ

【正答】は2です。なぜ2になったのか解説します。
ここでは「葛藤(かっとう)」にはいくつか種類があり、その種類ごとにどのような違いがあるのか明らかにすることが問われています。

葛藤とは、したいことができなかったり、したくないことを強いられたりしたときに生じる心の迷いのことです。会話文のなかの美保さんは、大学に進学して薬学も勉強したいし、文学の勉強もしたいと考えています。大学の学部は、1人1つしか選ぶことができません。したがって、美保さんは「薬学部にも行きたいし文学部にも行きたい」という葛藤を抱えていることになります。

つまり、美保さんは「したい対したい」の葛藤を抱えています。設問では「接近」タイプの葛藤と「回避」タイプの葛藤が出てきます。接近とは「したい」葛藤で、回避とは「したくない」葛藤のことです。ここまで押さえたうえで、具体例の葛藤を、接近と回避にわけてみます。

アの「宿題をやりたくない」は回避で、「先生に叱られるのはいや」も回避です。
イの「アルバイトを始めたい」は接近で、「部活動を続けたい」も接近です。
ウの「ギターを弾けるようになりたい」は接近で、「基礎練習はやりたくない」は回避です。
エの「新しいスマートフォンが欲しい」は接近で、「お金がなくて買えない」は回避です。

このように文章を分解すると、「回避-回避」のAはア、「接近-回避」のBはウ、「接近-接近」のCはイであることがわかります。

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