「物理基礎はここまで出る」高卒認定試験の試験範囲

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高卒認定試験の「物理基礎」の試験範囲を紹介します。物理は理系科目のなかでも特に難しいと思われている科目ですが、高卒認定試験では基礎問題しか出ません。高校1年生の物理は15項目しかありませんので、15個の基礎知識を身につければ合格点に到達するはずです。

物理基礎の試験範囲とは

高校の物理には次の15項目があります。
1)等加速度運動
2)重力による運動
3)力のつり合い
4)運動法則
5)摩擦力と抵抗力
6)仕事とエネルギー
7)力学的エネルギー保存の法則
8)熱とエネルギー
9)波の伝わり方と表現
10)固有振動
11)オームの法則
12)抵抗の接続、ジュール熱
13)磁界(磁場)とモーターの原理
14)電磁誘導と交流電流
15)現代の物理と生活、エネルギーの利用

タイトルだけみると難解な印象を持つかもしれませんが、物理は実生活で身近に起きている現象を扱っているので、少し勉強すると親しみが持てる学問です。日常の現象を「理屈と数字」で表現しているのが物理です。

例えば1)等加速度運動は、時速0km(停止状態)の自動車が時速5km、10km、30kmとスピードを上げ、時速60kmに達した時点でそのまま時速60kmで走行する現象を理屈と数字で説明しています。

また、9)波の伝わり方と表現を学ぶと、なぜ津波があれほどのパワーを持つのかがわかります。そして、13)磁界(磁場)とモーターの原理を学べば、流行(はや)りの電気自動車の仕組みがわかります。

このように自分が知っている現象と物理の教科書の説明をつなぎあわせると、「世の中は物理で説明できる」ことがわかり、学習意欲が高まるでしょう。それでは次に、実際に高卒認定試験の物理基礎に出た問題をみてみましょう。

過去問から推測する難易度

次の設問に挑戦してみてください。

設問)t=0s(0秒)に、ある高さから小球Aを初速度0m/sではなすと同時に、水平な地面から小球Bを真上に投げ上げた。t=3s(3秒後)に、小球Aは地面に達し、小球Bは最高点に達した。 重力加速度の大きさを9.8m/s2とする。

引用:文部科学省

問1)小球Aをなした位置の地面からの高さは何mか。次の1~5のうちから一つ選べ。
1:4.9
2:9.8
3:14.7
4:29.4
5:44.1

答えは解説の後に表示しますので、まずは解説も答えもみずに解いてみてください。

解説)設問では落下を扱っていますが、これは自動車の加速と同じです。重力加速度といっていますが、これも単に加速度9.8 m/s2で走る自動車と考えればいいのです。つまり問いは、停止していた自動車が急に加速度9.8 m/s2で走り出して、3秒後(t=3s)に何メートル進んだか、を尋ねているのと同じです。次の公式を覚えておけば、この設問を解くことができます。

・自動車の進んだ距離(小球Aの高さ)=初速度×時間+加速度×時間×時間÷2

この設問では小球Aは停止しているので、初速度は0です。加速度は9.8です。時間は3です。上の公式に当てはめると、小球Aの高さは44.1mになります。
答え)5:44.1

問2)小球Aと小球Bが地面に達するまでの1sごとの位置を示した図はどれか。次の1~4のうちから一つ選べ。


引用:文部科学省

解説)先ほどは公式を使いましたが、この問題は「直感」だけで解くことができます。
小球Aは落下しているので、直感的に「落下の速度はドンドン上がる」とわかります。そのため、選択肢3は該当しません。あとは小球Bを観察すればよいだけです。
選択肢1の小球Bは小球Aの元の位置より高く上がっています。
選択肢2の小球Bは小球Aの元の位置と同じ高さまで上がりました。
選択肢4の小球Bは小球Aの元の位置より低い位置までしか上がっていません。

小球Bは、地面から加速して真上に上がって頂点に達し、頂点で速度0kmになり、頂点から落下して地面に到達しています。地面から頂点までの時間と、頂点から地面までの時間は同じです。

そして、設問から「t=3s(3秒後)に、小球Aは地面に達し、小球Bは最高点に達している」ことがわかります。小球Aの地面到達時間と、小球Bの頂点到達時間は同じです。
また、小球Bの頂点到達時間と、小球Bの頂点から地面までの到達時間が同じなので、小球Aの地面到達時間と小球Bの頂点から地面までの到達時間も同様です。そこで、小球Bは小球Aと同じ高さまで上がったことがわかります。
内容を整理してみましょう。

・小球Aの地面到達時間=小球Bの頂点到達時間=小球Bの頂点から地面までの到達時間

・小球Aの地面到達時間=小球Bの頂点から地面までの到達時間

・小球Aと小球Bは同じ高さから落下している

まとめ

物理基礎の問題は、その名のとおり基礎さえ身につけておけば解くことができます。公式を1個覚え、そこが出題されればその公式を当てはめるだけで得点することができるのです。物理基礎は確実に得点できます。
「とっかかり」は難しいと感じるかもしれませんが、「理屈と数字」「公式を当てはめるだけ」、これら2つのコツをつかんでしまえば、あとはすらすらと面白いように解くことができるでしょう。

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