40代の人が高卒認定試験を受ける意義

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中卒の人が高卒認定試験に合格すると、大学入試を受ける資格を得ることができます。なんらかの事情によって高校に行かなかったり高校を中退したりした人は、40代になっても「忘れ物」をしているような気持ちが抜けないのではないでしょうか。そのような40代は、ぜひ高卒認定試験に挑戦してみてください。きっと「意義」がみつかるはずです。

高卒認定試験を合格しても「高卒」にはならないが

高卒認定試験の正式名称は高等学校卒業程度認定試験といい、文部科学省が実施しています。試験科目は国語、地理歴史、公民、数学、理科、英語の5教科8~10科目で、試験範囲は高校1年生が使う教科書です。公民と理科の選択の仕方によって最小で8科目、最大で10科目になります。

この試験に合格すると、高校を中退した人や中卒の人でも、大学入試の受験資格を獲得することができます。大学入試は原則、高校を卒業した人しか受験することができませんが、例外的に大学への道が開かれるわけです。

ただ、高卒認定試験に合格しても学歴としては「中卒」のままであり「高卒」にはなりません。履歴書には「高等学校卒業程度認定試験 合格」と記載することになります。

それではなぜ、大学に入る気持ちがない40代の人にも、この試験に挑戦する意義があるのでしょうか。

40代で「忘れ物」を取り戻そう

2019年3月の朝日新聞に「工場一筋69歳、塗り替えた『中卒』」という記事が掲載されました。自動車メーカーの下請け工場を65歳で定年退職した男性が、そのあと定時制高校に入り、4年後の69歳で見事、成績1位で卒業し高卒になりました。

男性は「字を書く喜びや歴史を学ぶ楽しさを知った」と話しています。男性にはずっと学歴コンプレックスがありました。そして、生前の母親から「高校に行かせられなくてごめんね」と謝られたこともありました。

この男性は、高卒認定試験よりも時間も労力も必要な定時制高校を選びました。それくらい「高卒」が必要だったわけです。高校を卒業していない事実は、地位でもお金でも幸せな生活でも埋められません。それは利益や実益を超越した「納得」の問題です。

もし、40代中卒の方が、現在余裕のある暮らしを送ることができていながら、時折人生に納得できないように感じたら、定時制高校に4年間通うことは大変ですので、それよりは大変さが少ない、高卒認定試験に挑戦してみてはいかがでしょうか。「10代の忘れ物」を取り戻すためです。

仕事は忙しいが40代が気力耐力的にもちょうどよい

40代で地位を得ている人はきっと、仕事で忙しい日々を送っていることでしょう。高卒認定試験に必要な勉強量は、定時制高校の4年間の勉強量よりは少ないのですが、それでも真剣に勉強をしないと合格できないでしょう。

そのため、中学3年生や高校1年生用の参考書を購入して仕事の合間をぬって勉強しなければなりません。高卒認定試験なら、あきらめなければ「なんとかなります」。なぜそのように言い切れるのかというと、高卒認定試験は1回で8~10科目の試験をすべて合格する必要はないからです。いずれかの科目で合格すれば、次回以降の試験ではもうその科目を受験する必要はありません。

高卒認定試験は年2回行われるので1回3~4科目ずつ合格していけば、1年半ですべて合格することができます。

そして、40代は気力も体力も十分備わっているはずです。頭も十分やわらかいので、新しいことを覚えるのも苦ではないでしょう。もちろん、高卒認定試験は何歳でも挑戦できますが、40代で「やろう」と思い立ったら、1日も早く勉強の準備に取りかかり次の試験に申し込んでみましょう。

高卒認定試験合格が仕事に与える影響とは

40代の人が高卒認定試験に合格すると、仕事にもよい影響を与えるでしょう。40代の中卒の人は、仕事の実力だけでその地位に昇りつめたはずです。日本は学歴社会なので相当苦労したかもしれません。「高学歴者に負けるか」という気持ちで乗り切ったのではないでしょうか。

しかし、これからベテランとして仕事をしていくなかで、「高学歴者に負けるか」という対抗意識をモチベーションにするのは、刺々(とげとげ)しすぎではないでしょうか。

また、会社での役割も、30代40代はガツガツ突き進むことが求められますが、50代60代にはもっと融和的で協調的な仕事の仕方のほうが歓迎されるはずです。高卒認定試験に合格すれば、「高学歴者に負けるか」という気持ちが和らいで、「高学歴の若い人たちをどうやって育てていこうか」という気持ちが芽生えるでしょう。

まとめ

高卒認定試験の合格は、文部科学省から「高卒者と同等以上の学力がある」と認定されたことを示します。この評価の意味は、人生において決して小さくはないでしょう。高校に行けなかった人や、高校を中退した人で40代になっても「やり残した」感がぬぐえない場合、高卒認定試験はひとつのけじめになるはずです。

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