【高認】中学時代に経済が超苦手だった人へ
高等学校卒業程度認定試験(以下、高認)の試験科目に「政治・経済」があります。この記事では「経済」に注目します。高認に挑戦しようとしている人のなかで、中学生のころから経済の勉強が苦手で、社会に出ても経済に関心が持てない人がいると思いますが、高認で出題される経済の設問は、それほど難しくありません。
働いた経験がある人なら、社会での経験と関連づけて勉強すれば、意外と「すんなり」覚えることができるはずです。高認の経済の攻略法を解説します。
高認試験としての経済とは
経済は、とても難しい学問のひとつであり、経済を正確にとらえるには、数学の知識も必要ですが、高認の経済の問題では、そこまで込み入ったものは出ません。確かに高認の経済でも「ケインズ」や「剰余価値」「規制緩和」といった難解な単語は出てきますが、設問をよく読むと常識で理解できるものも多くあります。
高校の経済の教科書をしっかり読み込み、問題集を1冊仕上げれば、試験対策としては十分でしょう。
経済試験の対策
ある年の高認の政治・経済の試験で、以下の文章を読み、設問に答えさせる問題が出ました。
生徒:先生。銀行にお金を預けると利息を支払うと聞いたのですが本当ですか。 先生:それは、日本銀行が市中金融機関である銀行などに資金を供給する制度の中にあるものですね。 生徒:どんなものなのですか。 先生:2012 年政府が「物価上昇率を2%にする」という目標を掲げたのは知っていますよね。 生徒:はい。デフレを脱却し経済を成長へと進めていくことを目標とした政策です。 |
設問 「物価上昇率を2%にする」政策の説明として適切なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。
1 デフレから脱却する政策を実施する際、目標としているインフレの状態を達成するまで金融を緩和するインフレ・ターゲッティングのこと。
2 公共投資を増やすために大量に発行された公債が金融市場の金利を変動させ、そのことにより民間投資が圧迫されるクラウディング・アウトのこと。
3 銀行が自行の預金額以上に貸し出しや投資を行い、不足分を日銀から借り入れるオーバーローンのこと。
4 税収などの歳入と、国債の償還費と利払いを除いた歳出を比較し、財政の健全化を示す指標であるプライマリー・バランスのこと。 |
設問をみる前に、生徒と先生の会話を読んでいきましょう。
「日本銀行」や「市中金融機関」という難しそうな単語が並んでいますが、この問題では「日本銀行は日本の中央銀行のこと」「市中金融機関は普通の銀行のこと」と理解していれば十分です。
そして、「デフレ」については、1)商品の価格が値下がりする現象であり、2)日本経済にとってよくないこと、この2点を知っていれば大丈夫です。
「1」しか選ぶことができない問題
設問の答えは1です。
その理由は「物価上昇率を2%にする」が「インフレ・ターゲッティング」だからなのですが、この知識がなくても、この問題を解くことができます。
まず、「デフレから脱却する政策を実施する」と述べているのは、1しかありません。先生と生徒の会話ではデフレを話題にしているので、ここだけでも1しか正答になり得ません。
また、日本銀行が「デフレを脱却してインフレに移行させようとしている」ことは、すでにテレビニュースで何年にもわたって伝えられています。
デフレといえば、「インフレの状態を達成するまで金融を緩和する」ことがセットで語られます。ここからも、1を導くことができます。
この設問はとても「親切」で、2、3、4を選びにくくしてくれています。2は公共投資や金利について語っていて、デフレとは何の関係もありません。
3はローンのことを、4は財政のことを説明していて、これらも直接的にはデフレと関係しません。つまり、1が正解かどうかわからなくても、2、3、4が適切でないことがわかれば、1を導き出すことができます。
まとめ
高認の経済の問題は常識と社会人としての知識で50%くらいは解くことができます。したがって、高認の経済対策としての勉強は、残りの50%の知識を獲得すれば終わります。高認の経済は、「難しく考えず」「教科書を地道に理解する」だけで攻略することができます。