【高認】倫理が超苦手な人へ
高認(高等学校卒業程度認定試験)では、公民の3科目のなかから1科目または2科目を選択しなければなりません。そのうち「倫理」は、「絶対に選びたくない」と考えている人がいる科目です。
倫理を苦手にする人は、どのように学んでいったらいいのかわからない、と思っているのではないでしょうか。ここで紹介する倫理の学習法を習得すれば、その苦手意識をぬぐい去ることができるはずです。
倫理を苦手にする人の特徴
倫理を苦手にする人は、倫理の教科書に登場する単語をみただけで、自分には理解できないとあきらめてしまいます。倫理の教科書には、例えば次のような言葉が登場します。「宗教観と倫理観」「美意識」「仏教の受容と発展」「合理的精神」「カントの思想」。
これらの言葉が、そもそも何を指しているのかわからない、という人もいるでしょう。倫理は、概念をつかむことすら難しい学問です。しかしこれは、多くの日本人が持っている感想です。日本人は日常生活のなかで、宗教や美意識や精神についてあまり語りません。つまり、倫理的な思考をあまりしない国民なのです。学校の教科としての倫理を苦手にするのは、当然といえば当然です。
倫理は面白い
倫理を好きになる第一歩は、面白いと感じることです。例えば、美意識についてですが、秋の山々の紅葉に心を奪われた経験はないでしょうか。夏まで緑一色だった山の木々が、まるで同じ場所とは思えないような黄色や赤の美しい風景へと変化します。これは美意識に関する心の動きですが、倫理で考える美意識はこれで終わりません。
車で3時間かけて見事な紅葉が見られる観光スポットに来たものの、感動したのは最初の10分ほどで、それ以降は見慣れてしまって感動が薄れる、という経験をしたことはないでしょうか。これも美意識に関する重要なテーマなのです。
日本人の美意識はとても複雑で、単純明快な美を、ときに拒絶したくなる衝動に駆られます。
鮮やかな紅葉が雨にさえぎられたときにだけ、心を動かされる人もいます。それを倫理では「幽玄」といいます。
幽玄を理解できると、美しいものを見すぎたあとに普通のものに興味を持ったり、毎日通勤通学で歩いている路地にいつくしみを感じたりする感情が説明できるようになります。「なぜ私は生きているのか」と考えている人なら、その答えを倫理の教科書のなかに見つけることができるかもしれません。このような思いのめぐらせ方を面白いと感じられるようになると、倫理の内容を理解しやすくなります。
まとめ
倫理は生き方に関する学問です。生き方は人それぞれ違っているのですが、その一方で、日本人に共通する考え方や、世界の人類に共通する考え方が存在します。自分の人生と他人の人生の共通項が倫理になります。倫理を学ぶと、自分の生き方と他人の生き方が説明できるようになるでしょう。試験勉強と思わず、人間理解のための取り組みととらえられるようになると、倫理の勉強は苦にならないのではないでしょうか。