不登校になる子どもの親に共通する特徴とは?原因と対処法

「子どもが不登校になったのは、育て方のせいなのかもしれない」と、自分を責める方もいるでしょう。
不登校の原因は一つではなく、家庭環境や学校の状況、本人の気質など、さまざまな要因が重なって起こるものです。
この記事では、不登校になりやすい親の特徴や共通する傾向、そして親としてどう向き合えばよいのか、具体的な対処法まで解説します。
不登校になりやすい家庭の4タイプ

子どもが不登校になる背景には、学校や本人の特性だけでなく、家庭環境も少なからず影響する場合があります。
ただし誤解してはいけないのは、「親が原因で不登校になる」という単純な話ではないということです。家庭のタイプには傾向があるだけで、誰かが悪いというわけではありません。
ここでは、あくまで「傾向」として見られる家庭の特徴を4つのタイプに分けて紹介します。
タイプ1:過保護・管理型
過保護・管理型は、子どもが小さな頃から生活・行動を細かく管理してきた家庭に多く見られるタイプです。
例えば、以下のような親の言葉には、子どもを思う気持ちが込められている一方で、子ども自身の判断力や自発性が育ちにくくなります。
・「宿題は終わった?」
・「遅刻しないように早く寝なさい」
特に高校生になると、自立の意識が強くなる時期ですが、親の期待や押しつけが強いと、失敗への恐れが芽生えたり、プレッシャーを感じたりします。
結果として、学校生活に息詰まりを感じ、不登校につながってしまうのです。
タイプ2:放任・無関心型
子どもに対して干渉しすぎず、自由にさせているようで、実は「無関心」に近い状態になっている家庭もあります。
例えば、進路の話をしても「好きにしなさい」と突き放されたり、悩みを打ち明けても親がスマートフォンばかり見ていたりすることが続くと、子どもは「自分に関心を持たれていない」と感じてしまいます。
もちろん、親が悪気なく多忙だったり、精神的に余裕がなかったりする場合もあるでしょう。放任主義の家庭で育った子どもは、自立心が高くなる傾向がありますが、愛情不足で心のよりどころを失い、不登校という形でSOSを出すこともあります。
タイプ3:不和・ストレス蓄積型
家庭内に常にピリピリした空気が漂っていたり、夫婦のケンカが頻繁にあったりすると、子どもは心理的に安定しにくくなります。また、経済的な不安や親の精神的ストレスが強いと、その影響は子どもにも伝わります。
高校生にもなると、それなりに親の表情や状況を読み取れるため、「家にいても安心できない」と感じる子も少なくありません。そのような状況では、学校でのストレスと家庭での緊張感が重なり、心の逃げ場がなくなってしまいます。
結果的に、学校に行く気力を失ってしまい、不登校に至るケースがあります。
タイプ4:完璧主義・高圧的期待型
「勉強しなさい」「もっと上を目指せるでしょ」など、親の期待が過度に高い場合も、子どもに強いプレッシャーを与えます。
このタイプは、過保護・管理型と似ている部分もありますが、親の「こうあるべき」という価値観を押しつけやすい傾向があります。完璧主義の親は、失敗を許さず、努力しても「まだ足りない」と感じてしまいがちです。
そのような言葉の積み重ねが、子どもにとっては「自分は認められていない」「どうせダメだ」という思いにつながります。その結果、自己肯定感が下がり、学校に行く自信をなくしてしまう原因になるのです。
不登校になる子どもの親に共通する特徴とは?

子どもが不登校になると、親自身も「もしかして自分のかかわり方に問題があったのだろうか」と、戸惑いや悩みを抱えているかもしれません。
不登校は、子ども本人の気質や学校環境など、さまざまな要因が絡み合って起こるものです。親の日頃のかかわり方やコミュニケーションの取り方が、知らないうちに子どもの心を追い詰めてしまっているケースもあります。
ここからは、不登校になるお子さんの親御さんによく見られる共通の傾向や行動パターンをいくつか紹介します。
これらは決して「悪い親」ということではなく、誰にでも起こり得ることです。子どもとの向き合い方を振り返る、「気付き」のきっかけにしてください。
子どもの気持ちより正しさを優先してしまう
「学校は行くもの」「将来のために勉強しなさい」という言葉は、親として自然な思いから発しています。しかし、子どもが「行きたくない」「つらい」と感じているときに、その気持ちを受け止める前に理屈をぶつけてしまうと、心を閉ざしてしまう可能性があります。
特に、真面目で感受性の強い子どもほど、「自分の気持ちはわかってもらえない」と感じてしまうでしょう。正しさを伝えることが悪いわけではありませんが、まずは子どもの気持ちに寄り添う姿勢が大切です。
解決しようと急ぎすぎる
子どもが不登校になると、多くの親は「このままで大丈夫なのか」と不安になります。そして、「どうしたら学校に戻れるのか」「何が原因なのか」をすぐに解決しようと、焦ってしまいます。
しかし、不登校はすぐに「直る」ものではありません。焦れば焦るほど、子どもにとっては「急かされている」と感じ、かえって状況が悪化します。
大切なのは、問題をすぐに解決しようとするのではなく、時間をかけて子どもの気持ちを理解し、必要なサポートを続けることです。
過剰に心配する
子どもが不登校になると、「このまま引きこもってしまうのではないか」「将来はどうなるのか」と、不安になるのは自然なことです。
しかし、その不安が強すぎると、本人が何もいっていない段階から親が先回りして行動してしまい、結果的に「信用されていない」と感じさせてしまいます。
また、心配する気持ちが言葉や態度に出すぎると、子どもにとってはプレッシャーとなり、かえって身動きが取れなくなります。心配そのものが悪いわけではありませんが、少し距離を置いて見守る姿勢が、子どもの回復を支える力になります。
なお、詳しくは後述しますが、たとえ不登校からすぐに回復できなくても、大学進学などの道は十分に残されています。必要以上に思い詰める必要はありません。
家庭内でのコミュニケーションが一方通行になりがち
「なんで学校に行けないの」「○○しなさい」といった言葉が増えてくると、家庭内での会話が一方通行になりやすくなります。
親としては、子どもの将来を思っての言葉でも、子どもにとっては「責められている」「わかってもらえない」と感じるケースも少なくありません。
大切なのは、指示やアドバイスを伝える前に、まずは子どもの話に耳を傾けることです。聞く姿勢があるだけで、子どもは「自分の気持ちを理解してくれる」と感じ、少しずつ安心できるようになります。
不登校の子どもへの具体的な対処法と親の役割

子どもが不登校になったとき、親としては「どうにかしてあげたい」と焦りや不安を感じるかもしれません。子どもをサポートするには、親のかかわり方が大切です。
ここからは、家庭でできる具体的なサポートから、外部の力を借りることの重要性、そして親御さん自身の心のケアまで、多角的な視点から対処法を紹介します。
家庭でできるサポートの具体例
不登校の子どもにとって、家庭が「唯一安心できる場所」であることが何よりも大切です。
無理に「学校に行こう」と促すのではなく、まずは子どもの気持ちに寄り添うことを心がけましょう。
また、子どもの話を聞くときは、途中で遮ったり否定したりせず、ありのままを受け止める姿勢が大切です。「あなたの話を聞きたい」という気持ちが伝わることで、子どもも少しずつ心を開いてくれるようになります。
第三者の力を借りることも大切
不登校の問題を家庭だけで解決しようとすると、親も子どもも行き詰まりやすくなります。そうした場合は、スクールカウンセラーや教育支援センター、フリースクールなどの専門機関を活用するのも有効な手段です。
第三者である外部の大人が間に入ることで、子どもが自分の気持ちを整理しやすくなる場合があります。特に、学校という枠にとらわれない人間関係のなかで、新たな安心感・自信を得るケースも少なくありません。
家庭だけで抱え込まず、信頼できる外部の支援と連携しながら、一緒に解決の道を探っていくことが大切です。
親自身の心のケアも忘れない
子どもが不登校になると、親もまた「自分のせいではないか」と自責の念にかられたり、「どうしたらよいのかわからない」と不安に陥ったりすることがあります。そうした気持ちを一人で抱え込まず、必要であればカウンセリングや、親の会などの支援を活用してみましょう。
親が少しでも心のゆとりを持ち、安定した気持ちで子どもに接することは、結果として子どもの安心感にもつながります。「親が元気でいることも大切なサポートの一つ」と考え、自分自身のケアにも目を向けていくことが大切です。
学校に戻らなくても選択肢はある
「学校に行けないままでは将来が心配」と感じる親も多いかもしれません。しかし、学校に戻ることだけがゴールではありません。不登校であっても、学びのルートはいくつも存在します。
例えば、高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)は、高校を卒業していなくても、高卒と同等以上の学力があることを国が認定する制度です。この試験に合格すれば、大学や専門学校の受験資格を得られます。全日制高校に通っていなくても、自分のペースで学びながら進路を切り拓くことが可能です。
そのほかにも、通信制高校やフリースクールなど、子どもに合ったペースで学びを続けられる多様な選択肢が整備されています。例えば、通信制高校では自宅学習を基本に、週1~2日の通学だけで卒業を目指すスタイルも選べます。
何より大切なのは、「子どもがどう生きていきたいか」という軸を尊重することです。親には、「この子にはこの子の道がある」と信じ、そっと見守る姿勢が求められます。
まとめ

不登校の原因は一つではなく、親だけの責任ではありません。しかし、親のかかわり方次第で子どもが不登校になる可能性があるため、本記事で紹介した特徴に該当しないように注意しましょう。
親としてできるのは、お子さんの気持ちに寄り添い、安心できる環境を整えることです。家庭だけで抱え込まず、専門機関のサポートを積極的に活用しましょう。
もし学校に戻ることが難しくても、高卒認定試験などのさまざまな選択肢があります。高卒認定試験に向けた勉強をサポートする塾や予備校もあるので、ぜひ活用を検討してみてください。