高認の日本史の傾向と対策

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高認試験(正式名称、高等学校卒業程度認定試験)の日本史の問題の傾向と対策について解説します。
高認はそれほど難しくはありません。試験のレベルは、中学3年生が1年間かけて高校1年生の教科書を学ぶ程度とされています。
高認の日本史の過去問をみれば、合格にはどの程度の学習が必要か推測できるでしょう。

平成29年度第1回 日本史A問題からの出題

ここで紹介する2問は、平成29年度第1回試験の日本史Aの問題で実際に出題されたものです。
問いの後に答えを掲載していますが、最初は答えを見ずに解答してみてください。
そして答えが合っているか・合っていないかを確認するだけでなく、「確実にわかって解答できているか」を確かめてみましょう。

すべての問題と解答は下記にて閲覧できます。

・問題
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/06/27/1389244_08.pdf

・解答
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/08/09/1389244_09.pdf

問い1

次の年表を参考にして、後にある問いに答えよ
年表

できごと

(a)財政政策による不況期

(b)日清戦争



「(a)財政政策による不況期」の経済政策の一つに日本銀行の設立がある。日本銀行設立後に定められた兌換銀行券条例(意訳してある)の内容として正しいものを、下の選択肢1~4のうちから一つ選べ。

兌換銀行券条例

第一条 兌換銀行券は日本銀行条例第十四条により同銀行で発行して銀貨と交換できるものとする

第二条 日本銀行は兌換銀行券発行量に対し引き換えるようの十分な銀貨を準備すること

第四条 兌換銀行券は租税海関税其他一切の取引に支障なく使えるものとする

第七条 金銀貨を持参して兌換銀行券との交換を望む人がいるときは日本銀行本店か支店において手数料無料で交換することができる

 (『法令全書』により作成)



<選択肢>
1. 兌換銀行券とは、銀との交換が義務付けられていない銀行券を指す。
2. 日本銀行は銀貨の準備がなくても、兌換銀行券を発行することができる。
3. 兌換銀行券は国内の取引に通用するが、税金を納める際には使用できない。
4. 金銀貨を持参すれば、手数料無料で兌換銀行券と交換することができる。

答えと解説

答えは4です。
日清戦争は日本と清国との戦争で1894年に勃発しました。したがって「(a)財政政策による不況期」はその頃の話です。日本銀行は現在の日本にもあり、1882年に設立されました。日本銀行は普通の銀行ではなく、物価の安定と金融システムの安定を目的としています。また日本銀行は「お金」である「日本銀行券」を発行して管理しています。
兌換銀行券は「だかんぎんこうけん」と読み、銀貨と交換できる紙のことで、現在は存在しません。

ここまでの説明を聞くと、難しい問題に感じるかもしれませんが、実はこの問題は日清戦争の知識も兌換銀行券の知識も必要ありません。
「ヒント」として出されている「兌換銀行券条例」の第七条を読んでみてください。ここには「金銀貨を持参すれば、手数料無料で兌換銀行券と交換することができる」といったことが書かれてあります。これは選択肢4とまったく同じです。
そして、その他の選択肢と「兌換銀行券条例」をしっかり読み込むと、選択肢1、2、3は間違っていることがわかるのです。

問い2

「(b)日清戦争」の後、政府と政党の提携が進むなど、関係の変化が起こった。次の資料(意訳してある)は、ある政党の成立について述べたものである。その政党名として正しいものを、下の選択肢1~4のうちから一つ選べ。

資料

見てみよ、今や諸君はかつて我々民権派に対して退去令を発令した時に総理であった伊藤や、内務大臣であった山県たちと手を取るのだな。かつての仲間を牢獄や絞首台におくった薩長藩閥のリーダーである伊藤博文を党首に迎えるとは・・・なにごとだ!



<選択肢>
1. 日本社会党
2. 立憲政友会
3. 立憲改進党
4. 自由民主党

答えと解説

答えは2です。
資料を読むと、「伊藤博文を党首に迎える」とあります。さらに「山県たちと手を取る」ともあります。これだけのヒントがあれば、「伊藤博文がつくった有名な政党のことをいっているはずだ」ということがわかります。
したがって答えは「2 立憲政友会」です。

立憲政友会は結成した1900年から40年間にわたって日本の政治に大きな影響を与えました。この時代の政治の話になれば必ず「立憲政友会」という名前が出てきます。

傾向と対策

高認の日本史の問題は、教科書の範囲内にとどまる、という傾向があります。ひねった問題は少なく、教科書に書かれてあることがそのまま出題されます。
そのため、高認の日本史対策は、教科書を読み込むことに尽きるでしょう。教科書だけでは心配という方は、参考書と問題集をそれぞれ1冊ずつ取り組んでみてください。

まとめ

わずか2問をみただけですが、高認の日本史の問題はそれほど深い知識がなくても教科書をしっかり読み込んでおけば解けることが理解できたかと思います。
基礎と基本さえ押さえておけば十分合格点を狙うことができますので、ぜひ試験に向けて勉強に取り組んでみてください。

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