【高認と通信制高校】何が違うの?どちらが有利なの?
高等学校卒業程度認定試験((以下、高認)に合格することと、通信制高校を卒業することは、どちらも「大学受験の権利が得られる」点では同じですが、その他についてはまったく異なります。高認に合格しても「高卒程度」と認定されるだけで「高卒」にはなりません。通信制高校を卒業すると「高卒」の資格が得られます。
しかし、高認には、通信制高校にない大きなメリットがあります。高認と通信制高校の違いを紹介するので、自分はどちらにマッチしているか、考えてみてください。
「試験」と「教育の場」の違い
両者の最大の違いは、高認は試験であり、通信制高校は教育を受ける学校であるということです。
高認は、文部科学省が運営する試験制度です。中卒の人や高校を中退した人などが、8~10科目の試験を受け、すべてで合格点を取ると「高認合格」となり、大学に受験する資格を得ることができます。試験科目数は、選択の仕方で8科目または9科目、または10科目になります。
高認は試験だけです。授業もなく、どこかに通う必要もありません。合否は点数だけで決まります。大学入試は原則、高校を卒業していないと受験できないのですが、高認に合格していれば受験が可能です。
一方の通信制高校は、学校制度上は普通高校と同じです。3年以上かけて必要単位を取得して卒業すれば「高卒」になります。通信制高校は、学校に通学できない人のために、ほとんどの学習を自宅でおこない、年に数回だけ学校に通うようにしています。
高認と通信制高校が「似たようなもの」と勘違いされるのは、どちらも自宅などで学習する必要があるからでしょう。
「高卒」の資格を取れるか取れないかの違い
高認に合格すると「高卒程度と認定」されますが、これは「高卒」とどう違うのでしょうか。高認合格は、学歴としては依然、「中卒」のままです。ただし、企業に就職するときに書く履歴書では「○○中学校卒業」「高等学校卒業程度認定試験合格」と書くことができます。これを見た、企業の採用担当者は「中卒だが、頑張って高認に合格したんだな」と思ってくれるでしょう。
しかし、企業のなかには厳格に「高卒以上の学歴がないと採用試験を受けさせない」と決めているところもあります。そのような企業の場合、「中卒+高認合格」では入社できないかもしれません。
まとめ
高卒の資格が取れないなら、高認より通信制高校のほうが良い、と感じるかもしれません。しかし高認には、通信制高校にはないメリットがあります。それは16歳以上の人なら誰でも受けることができ、試験に合格すれば大学の受験資格を獲得できることです。ただし、大学では受験できる年齢の下限を設定しており、その年齢にならないと受験できません。
通信制高校は3年間にわたって教育を受けなければ卒業できませんが、高認は2日間でおこなわれる8~10科目の試験にすべて合格すれば、それで修了します。中卒の社会人が「とにかく短期間で大学の受験資格を取りたい」と思ったら、高認のほうがおすすめです。