高卒認定試験には「こんな意外な問題」も出る

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高卒認定試験に合格するには、高校1年生向けの教科書をしっかり読み込む必要がありますが、出題される設問のほとんどは「素直な問題」です。ただまれに「意外な問題」が出ることもあります。合格を確実にするために、少しひねった問題にも対応できるようにしておきましょう。

「科学と人間生活」の意外な問題とは

「科学と人間生活」の意外な問題を紹介します。これは2017年に出題されたものです。

根粒菌の働きについての説明で正しいものを1~4のうちから1つ選べ。

 

1:根粒菌は根の周りで増殖し、水の吸収を手助けしている。

2:根の中に住みついた根粒菌が、大気中の窒素を植物が利用できる形にして供給している。

3:土壌中には根粒菌が数多く生存していて、窒素ガスを合成し大気中に放出している。

4:根粒菌が光合成を行い、有機物を植物に供給している。

解答と解説

答え:2

「科学と人間生活」は、理科のあらゆるジャンルから出題されます。試験範囲としてはかなり広いのですが、その分、あまり難しい知識は問われません。この問題も、根粒菌(こんりゅうきん)について一度でも学んでいれば、簡単に「2」の正答を導き出せるでしょう。

そのような意味ではこの問題は「素直な問題」です。しかし、根粒菌に注目しているところは「意外」です。根粒菌はすでに世の中に知られた存在ですが、大学の研究者たちがいまだに注目しているバクテリアだからです。

大豆などのマメ科の植物の根には、数ミリメートルの大きさの「瘤(こぶ)」ができます。この瘤のなかに根粒菌が存在します。根粒菌は大気中にある窒素をアンモニアに変える窒素固定を行うことができます。窒素は植物の肥料であることはよく知られていますが、植物が大気中の窒素をそのまま使うことはできません。しかし、アンモニアという窒素化合物であれば植物の肥料になります。つまり根粒菌は「肥料工場」というわけです。

人がアンモニアをつくろうとすると、500℃、1,000気圧という過酷な条件のもと、窒素と水素を化学反応させなければなりません。同じことを根粒菌は、常温、常圧で簡単にやってしまうのです。

根粒菌がそこまで植物のために働くのは、植物から光合成産物という「餌(えさ)」をもらえるからです。植物と根粒菌はいわば「持ちつ持たれつ」の関係にあり、この関係のことを共生といいます。

資料を読んで問いに答えよ。

資料

必須医薬品を入手することが困難だ、という点が発展途上国において大きな課題になっている。必須医薬品の入手問題を考える上では、まず特許の位置づけを正しく理解する必要がある。特許の利点には、知識や情報の広まりがある。特許を公開することによって研究開発への重複投資を避け、効率化を図ることができる。特許の問題点として、私的独占の問題がある。独占の弊害への対応としては、先進国においては、医薬品価格や製薬企業の利益水準に一定の規制が課されることが多い。

 

以下の(A)(B)にあてはまる文の組合せとして適切なものを、次の1~4のうちから1つ選べ。

 

リンダ:新しいアイディアを他の会社にまねされないための制度です。新しいアイディアを思いついたら特許庁に届け出ます。すると特許庁は、そのアイディアがきちんと実現できるのか、同じことを考えた人が他にいないのかを審査したうえで、発明者だけが使えるようにしてくれます。もしもそのアイディアを使いたかったら、発明者に特許料を支払う必要があるのです。私は、発展途上国向けの薬の生産に関しては特許に例外を認めて、たくさんの製薬会社が安い費用で発展途上国の患者に十分な薬を届けるだけの生産をするべきだと思います。

 

大 輔:特許というのは企業にとっては大切な制度なんですね。私は製薬会社に認められた特許は、もっと手厚く守るべきだと思います。なぜならば、一つの薬を開発するのに製薬会社は多額の開発費用をかけているはずだからです。特許が登録され、その後法律に基づく承認を得てはじめて販売することができると聞いたことがあります。だから製薬会社が開発にかけた費用を回収するチャンスを十分に保障する必要があると思います。製薬会社の経営が安定することは、薬の開発や普及にとって大切だと思います。

 

先生:リンダさんは、製薬会社の技術を(A)ことがすべての患者のためになると考え、新薬を開発した製薬会社の(B)ことがすべての患者のためになると考えているわけですね。

 

1:(A)向上させるために特許を守る (B)薬の開発費を削減する

2:(A)向上させるために特許を守る (B)利益を保障する

3:(A)開発した製薬会社以外の会社も用いる (B)利益を保障する

4:(A)開発した製薬会社以外の会社も用いる (B)薬の開発費を削減する

 

解答と解説

答え:3

特許と新薬の関係を尋ねる問題です。特許を強く守れば、製薬会社は新薬の開発にかけた費用を回収することができ、さらに新しい薬をつくることができます。しかし、新薬の特許を強く守りすぎると、特許料を支払う余裕がない発展途上国は新薬を使うことができません。したがって、特許を強く守らず、ほかの製薬会社もその特許の技術を使えるようにすれば、新薬を安く生産できるので発展途上国も買えるようになります。

この設問を解くために必要な知識は以上ですが、この設問は、特許と新薬の「ジレンマ」について尋ねています。ジレンマとは2つの反対する意見に挟まれてしまうことです。特許を強く守ることと特許を強く守らないことは反対する意見ですが、「どちらの意見も正しい」という特徴があります。

現代社会ではジレンマが頻繁(ひんぱん)に発生しますが、新薬の世界にもジレンマがあるというわけです。

「英語」の意外な問題とは

「英語」の意外な問題を紹介します。これも2017年出題です。

英文のメッセージの送り手が意図したものとして最も適当なものを1~4のうちから1つ選びなさい

I’ve just heard that you fell and broke your leg yesterday and are in hospital now. I’m really worried about you. I’ll come and see you tomorrow.  Let me know if you need anything. I hope you’re not in too much pain.

1:事故の様子を伝える。

2:病気の原因を調べる。

3:災害の状況を報告する。

4:怪我の見舞いを述べる。

 

解答と解説

答え:4

英文の意味を理解したうえで、その「意図」を読み解く力が必要になってきます。
「fell and broke your leg」とあることから「転んで足を骨折した」ことがわかります。また、「 I’m really worried about you.」とあり、メッセージの送り手が心配していることもわかります。さらに、「I hope you’re not in too much pain.」とあり、痛みを気遣っていることもわかります。

これらから、「骨折という怪我」「心配する気持ち」「痛みを気遣う気持ち」が存在することが推測できます。

英文のなかには「怪我」や「見舞い」といった単語は使われていません。この設問の正答を導き出すには、単に訳すだけではなく、それに込められた意味を読み解く力が必要になってきます。

この英文の日本語訳は次のとおりです。
「あなたが昨日、転んで足の骨を折り病院にいると聞きました。とても心配です。明日、お見舞いに行きますね。必要なものがあったらなんでも言ってください。痛みがひどくならないように願ってます。」

まとめ

「意外な問題」の正答をみつけることは簡単ではありません。そして、「意外な問題」をみると「解けるわけがない」と思ってしまうかもしれません。しかし、そこで冷静になることが大切です。「意外な問題」であっても、難しいわけではありません。ゆっくり問題を読み直せば、問われていることはそれほど深くないことに気が付くでしょう。落ち着いて一つ一つの問題をクリアしていきましょう。

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