大検から高卒認定試験へ│変わったこと、変わらないこと
「大検」の前身として「新制大学入学資格認定試験」が、1948年からスタート。そもそもは、戦後の新制大学への入学資格を旧制中学校卒業者などに与えるためのものでした。しかし、1951年には文部省(現在の文部科学省)が主体となって、高等学校教育を受けられない人に高等教育を受ける機会を与える「大検(大学入学資格検定)」になりました。
この「大検」制度が「高卒認定試験」(以下、高認)に変わったのは、2005年のことです。ここでは、「大検」から「高認」へとなったことで「変わったこと」「変わらないこと」について解説します。
受験資格は「16歳以上」だけに
発足当時の「大検」では、中学を卒業した満16歳以上が受験資格を有していました。しかし、1953年になって受験資格を拡大する目的で条件が緩和されます。これにより、中学を卒業さえしていれば、満15歳でも受検できるようになりました。
2005年の制度改革で「高認」になって以降、受験資格を満たす年齢が変更され、「中学卒業」という条件が撤廃されました。現在、高認受検の条件は「受験しようとする試験の日が属する年度の終わりまでに満16歳以上になる」ということだけです。
また、「大検」は、定時制・通信制高校在学の生徒しか受検できませんでしたが、「高認」制度では、全日制高校に在学中の生徒も学校長の許可があれば受検できるようになっています。
試験科目は8つに減少
受検しなければならない科目数も、「大検」と「高認」とでは異なります。そもそも、1965年当時の「大検」では、合格に必要な科目数は16でした。そこから、高等学校学習指導要領の改訂などに合わせて徐々に科目数が減少していきます。
2001年には、受検機会の拡大と受検生の負担軽減のため、年に2回の実施と合格に必要な科目数の精選化が図られることに。科目数は9科目または10科目とされていました。しかし、「高認」制度に変革されてからは、科目数はさらに減り、8科目の受検で合格できるようになっています。
また、「大検」では必修とされていた「家庭」がなくなり、「英語」が必修になるといった変化もあります。
合格すると大学や短大、専門学校への進学も叶う
一方で、「大検」と「高認」とで変わらないのは、「合格することで受検生のさまざまな夢をかなえる機会を与えてくれる試験」ということです。「大検」発足時の目的は、働く青少年の救済が主な目的でしたが、2020年現在の「高認」は高校進学をあきらめたり高校を中退したり、不登校になったりとさまざまな理由で最終学歴が「中卒」になった人すべての将来を広げる手段として活用されています。
・学習してきた成果を適切に評価してもらいたい
・進学するための資格を手に入れたい
・就職するうえでの評価に役立てたい
何らかの理由で高校を卒業できなかったものの、上記のような思いを抱く人を応援し、サポートしてくれる試験という意味では、「大検」も「高認」もまったく変わりありません。