「中卒に仕事がない」は本当?おすすめの職種や就職のポイントを解説

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求人の募集で高卒以上の学歴を求める企業は数多く存在します。そのため「最終学歴が中卒だと仕事が見つからないのでは」と不安に思う方も多いでしょう。高校を辞めたいと考える事情があっても、将来のことを考えて我慢する学生は少なくありません。

そこで今回は、「中卒に仕事がない」は本当なのか、就職率や正社員率などのデータをもとに検証します。記事の後半では中卒でも不利になりにくい職種やおすすめの資格なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「中卒に仕事がない」は本当?

「中卒に仕事がない」は本当?

中卒には本当に仕事がないのかを知るために、ここでは中卒者の就職率を見ていきましょう。

厚生労働省が公表しているデータをもとに、直近の学歴別就職率を以下の表にまとめました。

学歴

就職率

中卒

95.8%

高卒

99.6%

大卒

98.1%

短大卒

97.3%

参考:厚生労働省 令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめ(7月末現在)

令和5年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します

上の表で記載した中卒者および高卒者の就職率は、2024年3月に高校や中学を卒業する生徒を対象に、2023年7月末時点でのハローワークにおける求職状況を調査して得られた数字です。また、大卒および短大卒の就職率は、2023年の新卒者の就職状況から引用しています。

この調査によると、2024年度における新卒中卒者の就職率は95.8%でした。高卒以上の学歴を持つ方と比べて低い数字ですが、最も高かった高卒者の就職率との差は3.8%であり、それほど大きな差ではないことが分かります。

あくまでハローワークを経由した新卒者の就職率なので一概には言えませんが、少なくとも実際には多くの中卒者が仕事を見つけており、「中卒に仕事がない」は誇張された表現だと言えるでしょう。

「中卒に仕事がない」と言われている理由

「中卒に仕事がない」と言われている理由

中卒者の95.8%が就職できているにも関わらず、「中卒に仕事がない」と言われているのはなぜでしょうか。

大きな要因として、以下の2点が考えられます。

  • ・正社員率が低い
  • ・応募できる求人が少ない

それぞれ詳しく解説します。

正社員率が低い

正社員率の低さは、「中卒に仕事がない」と言われる要因のひとつです。

最終学歴

正社員率

中卒

35.4%

高卒

56.3%

大卒

80.9%

高専・短大卒

66.2%

参考:厚生労働省 平成30年若年者雇用実態調査の概況

上の表は、厚生労働省が発表したデータをもとに、若年労働者層における正社員率を学歴別にまとめたものです。

中卒者の正社員率は35.4%であり、半分以上の方が非正規の就業形態で仕事に就いています。また、最も高かったのが大卒者の80.9%であり、中卒者の正社員率と45.5%も差がつく結果となりました。

このことから、高卒者や大卒者と比べると、中卒者が正社員の仕事に就くのは簡単ではないことが分かります。

応募できる求人が少ない

求人サイトやハローワークの募集をチェックすると、多くの企業が当たり前のように学歴条件を「高卒以上」に設定しています。中卒者は応募できる求人がそもそも少なく、このことは「中卒に仕事がない」と言われる要因のひとつです。

厚生労働省が実施したハローワークの調査では、学歴によって求人数に大きな差があることが分かりました。詳細は以下の表のとおりです。

学歴

求人数

中卒

1,102件

高卒

388,588件

参考:厚生労働省 令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめ(7月末現在)

令和4年3月卒の方を対象としたハローワークの求人数を見てみると、高卒者向けの求人数が388,588件であるのに対して、中卒者向けの求人数はわずか1,102件のみでした。

中卒者が選べる仕事内容や職種の幅は、高卒以上の学歴を持つ方と比べて大幅に限定されます。中卒で仕事に就く予定の方は、このことを念頭に置いておきましょう。

中卒者の給料は少ない?男女別に解説

中卒者の給料は少ない?男女別に解説

ここでは学歴別の給料水準を比較し、中卒者の給料は少ないのかどうかを見ていきます。男女別に詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

なお、以下で紹介する数字は、厚生労働省が発表した「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果から参照しています。

学歴別で見た男性の賃金

はじめに、男性の賃金を学歴別に比較します。

最終学歴

毎月の現金給与額の平均

中卒

330,900円

高卒

343,600円

大卒

431,600円

高専・短大卒

389,700円

参考:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額

上の表は、所得税や社会保険料などを控除する前の「現金給与額」の平均をまとめたものです。これによると、男性中卒者の平均給与額は330,900円であり、大卒者よりも100,000円以上少ない結果となりました。

一方で、高卒者の平均給与額は343,600円であり、中卒者の平均給与額とほとんど同じです。つまり大卒と中卒では平均の給料に大きな差がありますが、高卒と中卒にはそれほど大きな差がないことが分かります。

学歴別で見た女性の賃金

続いて、学歴別で見た女性の賃金を紹介します。

最終学歴

毎月の現金給与額の平均

中卒

227,800円

高卒

244,700円

大卒

321,500円

高専・短大卒

289,200円

参考:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額

中卒者の平均給与額は227,800円であり、高卒以上の学歴を持つ方に比べて低い給与水準です。

また、最も高い大卒者の平均給与との差は約100,000円ですが、高卒者の平均給与との差は僅か10,000円程度でした。女性の場合も男性と同様、中卒者と高卒者では賃金に大きな差がないことが分かります。

中卒者が仕事を探す際に不利になりにくい職種一覧

中卒者が仕事を探す際に不利になりにくい職種一覧

中卒者が仕事を探す際には、学歴で不利になりづらい職種を選ぶのがおすすめです。ここで言う「学歴で不利になりづらい職種」は、例えば中卒を対象とした募集が多かったり、学歴に関係なく出世しやすかったりする職種と定義します。

中卒でも不利になりにくい職種の一覧を以下に記載しました。高校中退後に就職・あるいは転職活動をする方は、ぜひ参考にしてみてください。

  • ・力仕事(介護職・建設業・トラック運転手・工場勤務など)
  • ・サービス業(飲食店のスタッフ・アパレルショップの販売員など)
  • ・IT関連の職種(エンジニア・Webライター・Webマーケターなど)
  • ・営業職(法人向け営業・個人向け営業など)
  • ・公務員(地方公務員・警察官・消防士・保育士など)

上記のように必ずしも学歴を重要視しない職種には、肉体労働系の力仕事や飲食スタッフなどのサービス業が多く見られます。また、専門的なスキルやノウハウを身につければ、IT業界の仕事や営業職への就職も可能です。

意外かもしれませんが、公務員の中にも中卒で応募できる職種が存在します。給与や待遇の面で非常に安定しているので、中卒者にとって人気の高い仕事のひとつです。しかし公務員になるためには公務員試験や自治体独自の試験に合格する必要があるので、簡単になれるわけではないことは理解しておきましょう。

中卒者が就職を成功させるポイント4つ

中卒者が就職を成功させるポイント4つ

中卒者が就職を成功させるポイントとして、以下の4つが挙げられます。

  • ・求人サイトに登録する
  • ・就職サポートを活用する
  • ・中卒の経歴や理由を正直に伝える
  • ・資格を取得する

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

求人サイトに登録する

中卒者を対象とした求人の数は少ないですが、求人サイトに登録することで、応募のチャンスを広げられます。求人サイトには膨大な量の求人が掲載されており、パソコンやスマートフォンを通じて簡単に応募できるからです。

条件検索の機能を活用すれば、中卒でも応募可能な求人を簡単に絞り込めます。無料で利用できる転職サイトも多いので、中卒者の就職活動にとって非常に便利なツールと言えるでしょう。

就職サポートを活用する

就活・転職エージェントやハローワークなどの就職サポートの活用も、中卒者が就職を成功させるための有効な方法です。

就職サポートでは、希望やスキルにマッチした求人を紹介してもらえます。キャリアのプロに自身の希望やスキル、これまでの経験を伝えることで、応募可能な求人を自身の代わりに見つけてきてくれるのです。「自身に合った仕事が分からない」「やりたい仕事が見つからない」という方には、非常におすすめのサービスです。

就職サポートによっては、応募書類の添削やアドバイスなどのサポートが受けられる場合もあります。選考の通過率を高められるので、積極的に活用してください。

中卒の経歴や理由を正直に伝える

中卒の就職活動で絶対にやってはいけないのが、経歴を偽って応募することです。万が一選考を通過できても、採用後に嘘の経歴が発覚した場合は内定が取り消しとなる可能性があります。

学歴不問の募集であれば、中卒という学歴に負い目を感じる必要はありません。採用担当者には、中卒の学歴であることを正直に堂々と伝えましょう。

また、進学ではなく就職を選んだ理由や背景を具体的に説明することで、採用担当者の共感や理解を得やすくなります。志望動機やアピールに繋げやすいポイントでもあるので、むしろポジティブに捉えて中卒の学歴を利用しましょう。

資格を取得する

やりたい仕事が明確に決まっている場合は、資格取得を目指すのも一手です。学歴が中卒でもその仕事に活かせる資格を持っていれば、採用後に活躍できるイメージを持たれやすくなります。

資格試験の多くは、学歴を問いません。試験ごとに定める特定の条件を満たした方であれば、受験が認められます。例えば難関資格として知られる「宅地建物取引士」や「中小企業診断士」などの国家資格も、試験に合格できれば中卒の方でも取得が可能です。

中卒者には「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」の資格取得がおすすめ

中卒者には「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」の資格取得がおすすめ

中卒者におすすめの資格として、ここでは「高等学校卒業程度認定試験(以下高卒認定)」を紹介します。

高卒認定とは、高等学校の卒業者と同等以上の学力を持つことを証明する資格です。文部科学省が認定する公的な資格であり、以前は「大学入学資格検定(大検)」という名称で実施されていましたが、2005年から現在の名称に変更されました。

中卒者に高卒認定の取得をおすすめする理由は、学歴条件が「高校卒業以上・または同程度の学力」の求人に応募できるようになるからです。選べる求人の範囲が格段に広がり、希望に合った仕事を見つけやすくなるでしょう。また、このメリットは転職においても同様です。

最終学歴が「中卒」であることには変わりありませんが、高卒認定を取得することで将来の選択肢が広がることは確かです。高卒認定試験は毎年2回実施されているので、キャリアアップを目指す方は積極的にチャレンジしてみましょう。

高卒認定の取得に最適な予備校を比較

高卒認定の取得に最適な予備校を比較

ここでは、高卒認定の試験対策に強い予備校を比較します。

学校名

選択できるコース

学費の目安(年間)

おすすめの人

四谷学院



・高認通学コース
・高認からの大学受験コース
・高認個別指導コース
・高認通信講座

【通学コース】
800,000円~1,200,000円
【通信コース】
1科目40,000円

・マンツーマンの個別指導を受けたい方
・高卒認定取得後の大学受験までサポートしてもらいたい方

トライ式高等学院


・高卒認定コース
・高卒認定・大学受験コース

650,000円~1,200,000円

・オーダーメイドの学習カリキュラムによるサポートを受けたい方
・イベントや行事を楽しみながら高卒認定の取得を目指したい方

河合塾COSMO

一人ひとりに合ったカリキュラムを構築(高卒認定試験対策にも対応可能)

入塾金: 100,000円
授業料: 110,000円
合 計: 210,000円

・自身のペースや学力に合わせて学習を進めたい方
・大学受験も見据えて基礎からしっかり学びたい方

J-Web School
(通信コースのみ)

・完全合格コース
・総合本科コース
・科目履修コース

130,000円~350,000円

・通信で高卒認定の試験対策を進めたい方
・費用を安く済ませたい方

上の表で記載したように、予備校によって選択できるコースや必要となる学費の目安が大きく異なります。おすすめの人の特徴も記載したので、これから高卒認定の取得を目指す方はぜひ参考にしてください。

また、以下のページでは高卒認定の取得に最適な予備校をさらに詳しく紹介しています。学習環境やサポート体制などの重要なポイントを点数化し、チャート形式で分かりやすく解説しているので、併せて参考にしてみてください。

>>高卒認定取得におすすめの予備校一覧をチェックする

まとめ

今回は、「中卒に仕事がない」という噂は本当なのか、就職率や正社員率・平均給与などのデータを参考に詳しく解説しました。

中卒者の就職率は決して低い数字ではなく、最終学歴が中卒だからと言って仕事がまったく見つからない訳ではありません。しかし正社員率や平均給与などを比較すると、高卒以上の学歴を持つ方と比べて就職や出世に不利に働くことは事実です。

中卒者が学歴のハンデを克服する方法として、高卒認定の取得は非常におすすめです。応募できる仕事の幅が広がるほか、入社後の待遇にもポジティブな影響を与えます。
高卒認定資格の取得を目指す方は、以下の「高認取得に最適な学校を厳選セレクト!」を参考に、予備校の利用も検討してみましょう。高卒認定に特化した予備校に通うことで、独学よりも合格の可能性をはるかに高められます。

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