高校中退のデメリットと後悔しない進路の選び方

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高校を中退すると、将来について不安になる方も多いのではないでしょうか。中退という決断に至る理由はさまざまですが、大切なのは「その後の進路」をどのように選ぶかです。

この記事では、高校中退による主なデメリットを正しく理解したうえで、後悔しない進路選びのポイントや具体的な選択肢について解説します。

高校中退のデメリット

学歴

高校を中退するという決断は、人生において大きな転機となります。事情があってやむを得ず中退する人もいれば、自分の意志で進路を見直す人もいるでしょう。しかし、高校中退にはさまざまなデメリットがあるのも事実です。

ここでは、就職・進学・収入面・社会的立場など、具体的にどのような不利が生じるのかを詳しく解説します。

高校中退は就職に不利になりやすい

高校を中退すると、最終学歴は「中卒」となり、多くの企業の採用条件から外れてしまいます。中卒で応募できる求人は少なく、選択肢も限定的です。

仮に仕事が見つかっても、肉体労働系の職種であることが多く、長期的なキャリア形成が難しくなります。その結果、就職のスタートラインで大きなハンデを負う可能性もあるでしょう。

進学の選択肢が限られる

高校を中退したままでは、大学や専門学校などへの進学はできません。進学を希望する場合、高卒と同等の学力を証明する「高卒認定試験」の合格が必要です。

この試験に合格すれば、大学や専門学校の受験資格が得られ、将来の道が広がります。中退後も学びを継続する意欲があれば、大学進学などの選択肢を取り戻すことは十分可能です。

将来の収入が減少する可能性が高い

中卒者と高卒者では、生涯賃金に約1,000万円もの差があるとされています。高卒以上の学歴を条件とする職種は多く、年収の高い仕事に就くためには、最低でも高卒資格が求められるのが現実です。

若いうちは差を感じにくいかもしれませんが、年齢を重ねるごとに収入格差が広がっていくことも珍しくありません。

社会的偏見を受けやすい

日本では依然として「学歴社会」の意識が根強く残っており、中卒というだけで不利な見られ方をされることがあります。特に、就職活動や人間関係において、高校中退という経歴がマイナスに受け取られるため、悔しい思いをすることもあるでしょう。

本人の努力や能力が最も重要ですが、「高校を途中で辞めた」という事実に偏見を持つ人がいます。たとえ中退の理由が病気や家庭の事情などであっても、周囲が理解を示さない場合、偏見や誤解に苦しむ可能性があります。

高校生ならではの経験が得られない

高校生活は、学業だけでなく部活動や学校行事、友人との交流を通じて多くのことを学べる貴重な時期です。中退してしまうと、こうした経験が得られなくなり、あとになって「高校生活をもっと楽しめばよかった」と後悔することもあるでしょう。

また、社会性や協調性など、人間としての成長に欠かせない経験を逃してしまう可能性があります。特に思春期という多感な時期に、同世代とともに時間を過ごすことは、その後の人生に大きな影響を与えます。

高校中退を選ぶ際には、新たな環境でどのような経験をし、どのような人たちと出会い、つながりを深めていくかを前向きに考えることが大切です。

自己肯定感が下がることがある

高校を中退したことで「自分はダメなんじゃないか」と感じ、自己肯定感が低下してしまうことがあります。また、周囲と比べて劣等感を抱いたり、将来への不安から自信を失ったりする人もいます。

このような心理的負担が長期化すると、行動力や挑戦する気持ちを失い、進路の選択肢をさらに狭めてしまうでしょう。

高校中退の現状

落ち込んでいる学生

文部科学省の「令和5年度 学校基本調査」によると、2023年度に高校を中途退学した生徒は全国で4万6,238人にのぼり、全高校生の約1.5%を占めています。
引用:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

中退の理由として、主に以下が挙げられています。

・学校生活や学業への不適応
・進路変更
・経済的理由
家庭環境や人間関係、将来の進路に悩むなかで、やむを得ず中退を選ぶ生徒も多くいる状況です。

高校中退は珍しくなくなりつつありますが、その後の進路や社会的影響について考慮したうえで決断するようにしましょう。中退後の進路として、高卒認定試験、専門学校、就職、起業、海外留学などがあり、これらについては次の項目で詳しく解説します。

高校中退後の選択肢

学生

ここからは、高校中退後に選べる代表的な進路について紹介します。

就職する

高校を中退すると、学歴上は「中卒」となり、一般的な新卒採用の対象外になります。そのため、中卒でも応募できる企業や職種に絞って就職活動を進める必要があります。ただし、求人の数は少なく、体力勝負の現場仕事やサービス業などが中心です。

なかには、正社員登用のあるアルバイトや未経験可の職種もあります。働きながら高卒認定試験の勉強をしたり、定時制高校に通って学歴を補ったりする人も少なくありません。就職と学習の両立は簡単ではありませんが、将来的なキャリアの幅を広げるために有効な選択肢となります。

高卒認定試験に合格し大学進学を目指す

高校中退後に大学進学を目指す場合、「高卒認定試験」に合格することが必要です。これは、文部科学省が実施する試験で、合格すると高校を卒業していなくても大学受験の資格を得られます。

独学での合格も不可能ではありませんが、塾や予備校を活用すれば効率よく準備ができます。高卒認定を取得すれば、一般入試を受験して大学進学が可能です。人生をやり直す機会として、多くの中退経験者がこの制度を活用しています。

別の高校に再入学・編入する

中退後に「もう一度高校に通いたい」と考える場合、再入学や編入という道もあります。全日制高校への編入は難易度が高いですが、通信制高校や定時制高校であれば受け入れ体制が整っているため、柔軟に対応してもらえるでしょう。

また、サポート校と呼ばれる教育支援機関を併用することで、学習と生活面の両方で支援を受けながら高校卒業を目指せます。

専門学校に入学する

高校中退後に手に職をつけたい、好きな分野で学び直したいという人には、専門学校への進学も一つの選択肢です。専門学校には「高等課程」と「専門課程」があり、高等課程は中卒者を対象とし、専門課程は高卒または高卒認定取得者が対象となります。

つまり、高卒認定資格を取れば、幅広い専門学校への進学が可能になります。美容、デザイン、IT、医療・福祉分野など、さまざまな職業に直結した学びを深められるため、目標が明確な人にとっては実用的なルートといえるでしょう。

起業する

一部の高校中退者は、若くして起業という道を選ぶこともあります。ITスキルやクリエイティブな才能、独自のアイデアを武器に、フリーランスや個人事業主として活動を始めるケースも少なくありません。

ただし、起業は自由な反面、失敗のリスクも大きく、経営や会計、法律などの知識や資金の準備も必要になります。また、信用面でも学歴や職歴が影響する場面があるため、慎重な判断が求められます。

十分な計画と支援を得ながらチャレンジすれば、大きな成功につながるかもしれません。

海外留学する

高校を中退したあと、環境を変えて人生を見つめ直したいという人には、海外留学という選択肢もあります。語学習得や異文化体験を通じて視野が広がり、自信を取り戻すきっかけとなることも期待できます。

高校卒業資格がなくても受け入れ可能な語学学校や、留学プログラムもあります。しかし、進学目的での留学には、高卒認定資格が求められるケースもあるため、事前に確認するようにしましょう。なお、費用面の負担も大きいため、奨学金や支援制度の活用も検討するようにしてください。

高校中退後の進路を決める際のポイント

登校中の学生

高校を中退したあとは、「これからどうするか」を冷静に考えることが大切です。まずは、自分が将来どんな仕事をしたいのか、どんなことに興味があるのかを見つめ直しましょう。目標が明確になれば、進学や就職といった選択肢の方向性も見えてきます。

また、進路を決めるうえでは、家計の負担や生活環境といった現実的な要素も無視できません。金銭的に余裕がなければ、働きながら学ぶ道を選ぶ必要があるでしょう。

多くの大学や専門学校、企業では「高卒以上」を応募条件としているため、高卒認定資格の取得を視野に入れておくと、進路の幅が広がります。自分に合った道を見つけることが成功への第一歩です。

高卒認定試験の概要について

授業中

高校を中退した場合でも、学び直しや進学のチャンスを広げる手段として注目されているのが「高卒認定試験」です。これは、高校卒業と同程度の学力があることを証明するための制度であり、大学受験や就職など、今後の選択肢を広げるうえで有力な選択肢といえます。

以下では、同制度の概要について解説します。

高卒認定試験とは

高卒認定試験は、高校を卒業していない人が「高校卒業と同等の学力がある」と国に認められるための試験です。文部科学省が実施しており、受験資格は満16歳以上で、試験科目は8~9科目あります。なお、1度にすべて合格する必要はなく、科目ごとの合格は次回以降も有効です。

大学・短大・専門学校の受験資格や、公務員試験・就職活動にも役立つため、高校を中退した人にとっては将来の選択肢を広げる有効な手段となります。

高卒認定試験を目指すなら塾や予備校がおすすめ

高卒認定試験は、高校の幅広い学習範囲から出題されるため、独学では時間がかかり、途中で挫折してしまうこともあります。そこでおすすめなのが、高卒認定試験に特化した塾や予備校の活用です。

高卒認定試験に特化した塾や予備校では、出題傾向に沿ったカリキュラムが用意されており、短期間で効率よく合格を目指せます。講師の指導や模擬試験などのサポートがあるため、学習のモチベーション維持にもつながります。

学習スケジュールや進路相談にも対応してくれる塾や予備校も多く、初めて受験する人にとって大きな支えとなるでしょう。

まとめ

バッグを持っている女性

高校を中退すると、進学の選択肢が狭まったり、就職に不利になったりなどのデメリットが生じます。しかし、高校を中退することは決して人生の終わりではなく、新たなスタートを切るためのきっかけにもなり得ます。高校中退後には、主に以下の選択肢が挙げられます。

・就職
・大学や専門学校への進学
・他校への編入
・高卒認定試験の受験
・起業
・海外留学

特に「高卒認定試験」は、学歴面での不利を解消し、大学受験など今後の進路を広げる有効な手段です。自分の興味や目標を見つめ直し、経済的・生活的な条件も考慮しながら、無理のない再出発を図りましょう。

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