高認の地理の傾向と対策

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今回は、高認(高等学校卒業程度認定試験)の地理の問題の傾向と対策を紹介します。過去に出題された問題から2問を選び、実際に解いてみましょう。
引用元は平成30年度第1回試験で、すべての問題と解答は下記で見ることができます。

・問題
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/24/1407974_13.pdf

・解答
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/24/1407974_16.pdf

問1

地球的課題の地理的考察に関して、問いに答えよ。

 

問い:A~Cに当てはまる国名の組合せとして最も適切なものを、あとの1~4のうちから一つ選べ。

 

A:この国は、国境を接する国々からの流入が多くなっています。その中には長引く紛争を抱えている国もあり、そのような国から多くの難民を受け入れるとともに、NGOなどの協力のもと、様々な支援を行っています。

 

B:この国では、高齢化に伴う看護師や介護士の需要の増加などを背景に、経済連携協定(EPA)を締結した国々から、看護師や介護士の受け入れを始めました。

 

C:この国では、豊富に産出する石油の収入による好景気により、建設ラッシュが続いていることから、外国から多くの出稼ぎ労働者が流入しています。写真のような建設現場で働く多くの労働者が、外国から出稼ぎに来ている人々で占められています。

 

 

A

B

C

1

イラン

日本

サウジアラビア

2

イラン

サウジアラビア

日本

3

日本

イラン

サウジアラビア

4

日本

サウジアラビア

イラン

 

 

 

答えと解説

答えは1です。
この問題を解くコツは、難しく考えないことです。A、B、Cの説明文のなかには、聞き慣れない単語が並んでいます。例えば「NGO」は「非政府組織」といい、政府の力を頼らない民間人や民間組織だけで構成した国際協力団体のことです。また、「経済連携協定(EPA)」は経済関係を強化して貿易や投資の自由化を進める協定のことです。
しかし、これらの単語を知らなくてもこの問題を解くことができます。それは、「イラン、日本、サウジアラビア」の3カ国が特徴のある国だからです。

まずは、日本の特徴を探してみましょう。するとBの「高齢化」がマッチすることがわかります。日本はいま、高齢社会から超高齢社会に移行し、看護師や介護士が増えている状況です。それでも看護師や介護士が足りず、海外からの受け入れも始めています。
Bが日本であれば選択肢は1しか該当しないので、実はこれだけでこの問題は解けてしまうのです。
しかし、ここでは念のためイランとサウジアラビアについてもみていきましょう。

イランもサウジアラビアも中東の国であり、なおかつ産油国ですが、国情(国の情勢)はまったく異なります。
イランはアメリカと対立しており、経済の立て直しが必要な状況に置かれています。まさに、Aにある「紛争」「難民」といった課題を抱えているのです。
一方のサウジアラビアは、アメリカはもとより日本とも友好的な関係にあり、アメリカや日本に石油を売って外貨を得ています。
つまり、Cにある「好景気」や「建設ラッシュ」が続いている裕福な国であるということです。そのため、答えとしては1が正しいことがわかります。

問2

タケトさんたちは、世界の森林破壊の現状について興味を持ち、資料を集めました。タケトさんたちと先生の会話文中の空欄X、Yに当てはまる語と記号の組合せとして最も適切なものを、あとの1~4のうちから一つ選べ

 

タケト:世界各地で森林破壊が進んでいて、これは大きな環境問題だよ。

 

ミサ:ブラジルでは、熱帯林を切り開いて畑をつくっています。この畑で栽培される【X】の主な用途は、搾って食用油をとることです。また家畜の飼料としても使用されます。

 

タケト:熱帯林を切り開いた地域は、【X】の畑だけではなく、肉牛の牧場としても使用されているそうだよ。

 

ミサ:同じ地域の中でも森林の減少には様々な要因があるのですね。

 

タケト:ある国はマングローブ林を切り開いてつくられたエビの養殖池をつくっています。多くの魚や貝などの生物にとって、貴重なすみかであるマングローブ林が失われているようです。

 

ミサ:このことは日本とも関わりが深いようですね。【Y】は、エビの輸入先を示していて、これらの国は開発が進んでいると聞きました。

 

先生:私たちの生活は、環境問題と深い関わりがありますね。しっかり考えていく必要がありますね。

 

日本のエビと木材のいずれかの輸入先とその割合(2015 年)

 

A

B

1 位

ベトナム(21.1%)

カナダ(26.9%)

2 位

インドネシア(17.5%)

アメリカ合衆国(20.0%)

3 位

インド(17.0 %)

ロシア連邦(10.2%)

4 位

アルゼンチン(7.3 %)

フィンランド(6.8%)

5 位

カナダ(6.4%)

中華人民共和国(6.0%)

(財務省「貿易統計」により作成)

 

選択肢

 

X

Y

1

サトウキビ

A

2

サトウキビ

B

3

大豆

A

4

大豆

B

 

 



答えと解説

答えは3です。
【X】はブラジルに関係する農作物を選ばなければなりません。それはサトウキビでしょうか、大豆でしょうか。
しかし、「ブラジルで多くつくられている農作物はなんだろうか?」と考えてこの問題を解こうとすると、途端に難しくなってしまいます。
そのように考えるのではなく、【X】の後に書いてある「食用油」や「家畜の飼料」に注目すると、「油を取ることができて家畜のエサになるのは大豆である」とわかります。
したがって、選択肢は3か4に絞られます。

【Y】は、日本のエビの輸入先の国名を入れます。スーパーマーケットで買い物をする人だと、ベトナム産やインドネシア産のエビがたくさん売っていることがわかるので、答えがAであることがわかります。
しかし、エビの買い物の経験がない人でも「エビは魚介類だから新鮮なうちに日本に届く必要がある。したがって近隣の国から輸入するのではないか」と考えれば、アジアの国々が上位に入っているAを選択することができるわけです。 また、「マングローブ林」というキーワードもあります。マングローブは熱帯の国の植物ですので、少なくとも「寒い国」として知られているロシア連邦やフィンランドは外れます。したがって「Bではない」ことがわかるので、やはりAが正しいことが導けるのです。

傾向と対策

高認の地理の設問は、難しいテーマを取り上げる傾向にあります。そのため、受験生は問題を開いた瞬間に「難しそう」と感じてしまうかもしれません。
しかし、問題文をじっくり読むと、正解を導くのに必要なヒントがたくさん含まれています。そのヒントをみつけることができれば、難しいテーマを完全に記憶していなくても問題を解くことができるのです。
ただし、難しいテーマの全体像を把握しておかないと、出題者の意図を理解することはできませんので、やはり高校1年生向けの教科書を熟読することは高認の受験対策として必要不可欠です。

まとめ

高認の地理の特徴は「一見難しそうに感じるものの、実際は決して難しくない」ということです。それは、過去の問題をみても明らかですので、「高認の地理の問題は、教科書からしか出ない」と信じて、教科書を読み込みましょう。 また、参考書と問題集を1冊ずつ購入し、少なくとも1回はすべてに目を通し、解答してみてください。教科書、参考書、問題集の計3冊で、高認の地理は合格点を狙えるはずです。

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