高専を中退したらどうなる?高卒認定の取得や辞めたあとの進路は?

「高専を中退したら、この先どうなるのだろう」と不安に感じる方は多いでしょう。高専を中退すると、最終学歴は「中卒」となり、進学や就職に影響する可能性があります。しかし、高卒認定試験に合格することで、将来の道を切り拓けます。
本記事では、高専の中退率や中退する理由、中退するメリット・デメリット、中退後の進路の選択肢、そして高卒認定試験の活用法までを詳しく解説します。自分に合った次の道を見つけるヒントを得るために、ぜひ参考にしてみてください。
高専中退者は多い?中退率とよくある理由

高専を中退する人がどのくらいいるか、気になる方は多いでしょう。まずは、文部科学省より調査されたデータから、中退者の割合について解説します。
高専の中退率
文部科学省の調査によると、令和5年度における高専の中退率は2.09%、令和4年度は2.16%です。大学の中退率(2.04%)とほぼ同水準であり、高専においても毎年一定数の学生が中退していることがわかります。
引用:文部科学省|令和5年度学生の中途退学者・休学者数の調査結果について
高専は、中学卒業後から5年間一貫して専門科目を深く学ぶことで、実践的な技術者の育成を目指しています。これは一般的な高校とは異なり、早期から専門分野に特化するため、入学後に「想像していた内容と違った」「ほかに興味のある分野が見つかった」と感じるケースがあります。
そのため、高専生のなかには進路を再考し、途中で方向転換を決断する方も少なくありません。
高専を中退する理由は?
文部科学省の調査によると、高専を中退する理由は多岐にわたり、一つではありません。
最も多いのは「転学・進路変更等」で、大学や別の高校に進むために中退を選ぶケースです。次いで「学生生活への不適応や修学意欲の低下」「就職・起業」「経済的な事情」などが挙げられます。
この調査結果からわかるのは、高専を中退する背景は必ずしも学業不振だけではないということです。むしろ将来の目標や環境の変化によって、高専以外の道を選択する学生も多く、中退は進路を考え直す一つのきっかけになっています。
高専を中退すると進学や就職に不利になる?

高専を中退すると、その後の進学や就職に不利になるのではないかと不安に思う方は少なくありません。実際、在籍年数や修了状況によって受けられる扱いが変わります。
ただし、必ずしも「中退=不利」とは限らず、自分の状況を理解したうえで適切な進路を選べば、大学進学や就職のチャンスを得られるでしょう。
ここからは、「進学」と「就職」に分けて、それぞれどのような影響があるのかを解説します。
進学の場合
高専を中退した場合、最終学歴は原則として「中卒」となります。しかし、高専の在籍期間によっては、進学において「高卒と同等の扱い」を受けられるケースがあります。
一方で、3年次を修了していない場合は、高卒と同等の扱いを受けられません。この場合、大学や専門学校を受験するには、後述する高卒認定試験に合格する必要があります。
就職の場合
就職活動においても、高専中退は最終学歴が「中卒」となるため、進路に影響を与える可能性があります。
3年次を修了していれば、公務員試験や一部の民間企業で「高卒同等」として応募できる場合があります。
一方で、3年次を修了していない場合、「中卒」扱いとなり、公務員試験や「高卒以上」を条件とする民間企業の求人への応募は難しくなります。
高専を中退するメリット・デメリット

ここからは、高専を中退するメリットとデメリットについて紹介します。進路選択の参考情報として、活用してください。
高専を中退するメリット
高専のカリキュラムや専門分野が自分に合わないと感じている場合、中退することで興味のある分野や別の進路を模索できます。自分の適正を再確認し、将来像を見直すきっかけになる点は大きなメリットです。
自分に合わない環境から抜け出し、新たな進路を模索できることは中退するメリットといえるでしょう。
高専を中退するデメリット
最終学歴が中卒になる点は、大きなデメリットです。高専を中退すると、最終学歴は「中学校卒業」となり、進学や就職において選択肢が狭まる可能性があります。
高専は卒業生の就職率が非常に高く、多くの企業から信頼されています。しかし、中退するとこの恩恵を受けられなくなり、自力で就職活動を行わなければなりません。
また、就職面接では中退理由について質問されるでしょう。面接官を納得させられるように、中退理由や経験をどう活かすかを前向きに説明できるよう準備が必要です。
高専を中退した人の進路

高専を中退したとしても、将来の可能性が失われるわけではありません。中退後は状況に応じてさまざまな選択肢があり、適切な進路を選ぶことで将来の道を切り拓けます。
以下では、おもに考えられる3つの進路について詳しく解説します。
就職する
高専を中退したあとの選択肢の一つに、就職する道があります。最終学歴は原則「中卒」となりますが、若いうちから現場経験を積むことで、独自のスキルや専門知識を磨くことが可能です。特に、高専で学んだ技術系の知識や実習経験は、製造業やIT業界、機械・電気関連の企業で評価されるケースがあります。
ただし、高卒や大卒と比べて応募可能な求人が限られたり、給与面で不利になったりする可能性もあるので注意が必要です。
また、高専が持つ就職ネットワークや推薦制度は利用できないため、就職活動は自力で行うことになります。応募前に求人の条件・職務内容・研修制度を確認しましょう。
大学や専門学校を目指す
高専を中退しても、大学や専門学校への進学は可能です。ただし、受験資格は在籍年数や修了状況によって異なります。高専の3年次を修了している場合、「高卒と同等の学力がある」とみなされるため、大学の一般入試や専門学校の受験に挑戦可能です。
一方で、3年次を修了していない場合は、正式な受験資格が得られません。この場合は、後述する「高卒認定試験(高認試験)」に合格することで、大学や専門学校の受験資格を得られます。進学を目指す場合は、入学後の授業にスムーズに対応できるように、基礎学力の復習や必要科目の予習を行っておきましょう。
高卒認定を取得する
高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は、文部科学省が実施する国家試験で、合格すると「高卒と同等の学力があること」を証明できます。試験に合格すれば、学歴は中卒のままでも、大学や専門学校への受験資格を取得することが可能です。
さらに、公務員試験や民間企業への就職活動においても、学力証明として活用できる場面があります。
独学でも挑戦可能ですが、科目が多く範囲も広いため、予備校や専門塾を活用すると効率的に学習を進められます。高卒認定を取得することは、中退後の進路の幅を大きく広げる重要なステップになるはずです。
次の章では、高卒認定試験に合格するための具体的な勉強法について紹介します。
高卒認定試験に合格するには?

高卒認定試験の試験形式
高卒認定試験は、国語、数学、理科、社会、外国語など、高等学校で学ぶ主要な科目の試験を受けます。試験はマークシート形式で行われますが、科目数が多いため、独学ですべての科目を計画的に学習するのは容易ではありません。
そのため、効率よく学習を進める工夫が必要です。例えば、出題範囲が広い科目から重点的に学習計画を立てたり、過去問題を繰り返し解いたりして、出題傾向に慣れるのがおすすめです。
予備校や塾の利用がおすすめ
効率よく学習を進めるのにおすすめなのが、専門の予備校や塾を活用する方法です。予備校では、必要な科目に絞ったカリキュラムや、効率的な学習プランを提供するため、無駄なく合格に向けた学習が可能です。
高卒認定試験に合格することは、大学や専門学校への進学、そして就職の選択肢を広げるための重要なステップです。
また、プロの講師による指導により、理解が不十分な分野を重点的に学べるため、独学よりも短期間での合格が見込めます。
まとめ
高専を中退した場合、最終学歴は原則「中卒」となるため、今後の進路に不安を感じるかもしれません。しかし、進路が完全に閉ざされるわけではなく、高卒認定試験に合格すれば、将来の選択肢を大きく広げられます。
独学でも合格を目指せますが、効率的に学習したいなら予備校や塾の活用がおすすめです。自分に合った進路を見つけ、新たな一歩を踏み出しましょう。