中卒と高卒では資格取得のハードルがこんなに違う!学歴で異なる資格合格の道
仕事によっては資格が必要になる職業があります。例えば、学校の先生になるには教員免許を持っていなければ働けないように、やる気だけでは仕事に就けない職種も少なくありません。特に、学歴次第で、就職や業務に必要な資格の取りやすさが異なる場合や、そもそも一定以上の学歴がなければ受験自体できない場合があるので、注意が必要です。
ここでは、中卒と高卒で違いのある資格取得のルートについてまとめてご紹介します。
中卒では受験できない資格がある
中卒のままでは、大学受験の資格がないように、高卒や大卒以上でないと受験できない国家資格や民間資格もあります。例えば、栄養士は大学や短大、専門学校などの栄養学科といった栄養士養成施設を卒業していなければいけません。また、看護師であれば中卒の場合、5年一貫の指定養成施設を修了することが国家試験の受験要件です。
受験できるが実務経験が必要な資格が多い
高卒の資格は必要ありませんが、中卒では取得までルートが遠回りになって、時間や労力のかかる資格もあります。例として美容師と保育士の場合を見てみましょう。
美容師免許の場合
一般的には高卒後、美容学校を卒業して国家試験を受験します。しかし、中卒の場合は、美容師養成施設の通信課程で3年以上(昼間と夜間過程は2年以上)を修了していることが受験要件です。
保育士の場合
大学や短大の卒業または保育関連施設で一定の業務経験後、国家試験を受験するのが一般的なルートです。中卒から目指す場合は、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設で長期間(5年以上かつ7,200時間以上)の勤務経験が必要になります。
このように、中卒でも試験に合格すれば取得できる試験もあります。しかし、受験要件にまとまった業務経験年数や高卒者よりも長期間の通信教育が必要など、時間を要する資格も少なくありません。
実際の資格取得までのルートの違い
ここでは、保育士試験を例にとって、中卒者と高卒者ではどのような取得ルートの違いがあるのかを見ていきましょう。
中卒者が保育士試験を受験する場合
受験資格を得るには、5年以上かつ7,200時間以上、児童等の保護または援護に従事した勤務経験が必要です。受験資格に該当する施設は、以下のような児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設となります。
・利用定員20名以上の保育所
・保育所型認定保育園
・児童厚生施設(児童館)
・乳児院や母子生活支援施設
・児童発達支援センターなど
そのため、たとえ5年以上かつ7,200時間以上、子どもに関わる仕事をしていても、働いていた施設が以下のような施設の場合は、受験資格の対象とはなりません。
・認可外保育施設
・幼稚園
・放課後児童クラブ・学童クラブ
・障害児通所支援事業
・放課後等デイサービスなど
高卒者が保育士試験を受験する場合
1991年(平成3年)3月31日以前に高校を卒業した場合は、受験資格があります。1991年(平成3年)4月1日以降の卒業の場合、保育科を1996年(平成8年)3月31日以前に卒業した人は、資格要件を満たすため受験可能です。
一方で、保育科以外や保育科でも1996年(平成8年)4月1日以降の卒業の場合は、次の2つの条件をクリアしなければ受験ができません。
① 2年以上かつ2,880時間以上、児童等の保護または援護に従事した勤務経験がある
② ①の業務時間を受験資格に該当する施設(児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設)で勤務している
施設例:保育所・保育所型認定保育園・児童厚生施設(児童館)・乳児院・母子生活支援施設、児童発達支援センターなど
このように、中卒者と高卒者では、受験資格で求められる業務経験の長さに大きな差があります。高卒者で卒業年月日が1991年4月1日以降かつ保育科以外でも、2年以上かつ2,880時間以上の勤務経験があれば受験資格を得ることが可能です。
しかし、中卒者の場合は、5年以上かつ7,200時間という勤務時間が必要なため、受験資格を得るまでに2倍以上の時間がかかってしまうことが分かります。
まとめ
保育士試験の例のように、中卒者と高卒者では受験資格を得るだけでも条件に大きな違いがあります。ただし、中卒や高校中退でも高卒認定試験に合格すれば、高卒と同等とみなされるので、高卒者と同じ条件で受験が可能です。もし、希望する職業に資格が必要なときは、高認試験の受験でショートカットするルートも考えてみてはいかがでしょうか。