高校を中退しても大丈夫!再入学するメリット・デメリットとは

高校を中退してしまうと、「進学も就職も不利になるのでは」と不安になる方は少なくありません。しかし、「転入」や「再入学」「編入」のいずれかを行ったうえで卒業すれば、将来の道は切り開けます。
本記事では、転入・編入・再入学の違いや、それぞれのメリット・デメリット、高卒認定試験の仕組みについて詳しく解説します。将来について不安がある方は、ぜひ参考にしてください。
転入・編入・再入学の違い

高校を中退した方のなかには、「転入」「編入」「再入学」という3つの選択肢について気になっている方もいるでしょう。3つの違いを正しく理解しておけば、自分にとって最適な選択肢を判断しやすくなります。
まずは、3つの選択肢が何を指すのかについて、概要を見ていきましょう。
転入とは?
転入は、現在高校に在籍している状態のまま、空白期間を挟まず別の高校へ移ることを指します。例えば、家庭の引っ越しや通学環境の変化、部活動の事情などで、現在通っている高校から別の新しい高校へ移る場合が該当します。
転入の大きな特徴は、中退せずに学びの場を変えられる点です。取得済みの単位を引き継げるため、卒業までの期間が延びにくいメリットがあります。
ただし、公立高校の場合は募集時期や定員が限られており、受け入れ先が見つかりにくいケースがあります。また、私立高校の場合も、学校ごとに受け入れ条件や試験内容が異なるため、事前に確認しておきましょう。
編入とは?
編入は、一度高校を中退し、空白期間を経てから、別の高校に途中学年から入学することです。例えば、高校2年の途中で中退し、翌年に別の高校の2年生または、3年生として学び直す場合がこれに該当します。
編入の大きな特徴として、以前通っていた高校で取得した単位を引き継げる可能性が高い点が挙げられます。単位の引き継ぎが認められれば、卒業までの期間を短縮できるため、学び直しを効率的に進められるでしょう。
一方で、単位の認定可否は学校や自治体によって異なり、必ずしも希望通りの学年から再スタートできるとは限りません。編入試験が行われるケースもあり、面接や筆記試験の対策が必要になることもあります。
再入学とは?
再入学は、一度退学した学校にもう一度入学すること、または中退後に別の高校へ1年生から入学し直すことを指します。
「高校生活を最初からやり直す」という意味合いが強く、転入や編入とは異なり、以前の単位は引き継げないケースが多いです。
同じ学校への再入学は、受け入れ可能なケースが少なく、まずは直接学校へ相談する必要があります。学校や自治体によっては、再入学を認めない場合もあるため、事前に確認することが大切です。
別の高校に1年生から入り直す場合は、全日制・定時制・通信制のいずれも選択肢となります。全日制高校への再入学は、年齢や募集枠が制限されているケースが多いですが、通信制や定時制は柔軟に受け入れている傾向にあります。
再入学は、卒業までに3年間かかるため時間的負担は大きいですが、現役高校生と同じ「高校卒業資格」を得られる点がメリットです。高校生活を一からやり直したい方にとって、有力な選択肢となるでしょう。
このように、転入・編入・再入学の意味は大きく異なります。自分の状況を整理したうえで、適切な選択を行いましょう。
高校中退後の再入学について

高校を中退したあとでも、再び高校に通う道は残されています。ただし「どこに」「どの形で」再入学するかによって、必要な条件や難易度は大きく変わるので注意が必要です。
ここからは、高校中退後の再入学について、3つのケースに分けて見ていきましょう。
同じ学校への再入学
一度退学した高校に再び入学できるケースは、多くありません。学校によっては再入学制度がそもそも存在しない場合や、過去の退学理由によって断られる場合があります。
再入学を希望する場合は、まずはその高校に直接相談してみましょう。この際に、募集の有無・再入学試験の有無・空席状況などを確認してみてください。
また、再入学が可能だったとしても、退学時点で取得していた単位や学年によっては、1年生からやり直しになることもあります。特に、公立高校では学年進行や定員の制限が厳しいため、再入学できるタイミングが限られます。
ほかの全日制高校への再入学
別の全日制高校に再入学する場合は、「再入学扱い(1年生から)」になることもあれば、「編入扱い(2年生または3年生から)」になることもあります。これは、前の学校で取得した単位や学習状況をどの程度引き継げるかによって決まります。
公立高校への再入学は、募集時期や定員が限られており、競争率が高くなる傾向があります。特に、中途入学の場合は募集枠が少ないため、希望の学校に入れないケースも少なくありません。
私立高校は、学校ごとに独自の基準を設けているため、公立より柔軟に再入学を受け入れてくれる場合があります。学費はかかりますが、入試日程や受け入れ条件が幅広いため、再入学のハードルは比較的低めです。
通信制高校・定時制高校への再入学
通信制高校や定時制高校は、中退後の受け入れを行っています。幅広い年齢層の生徒が在籍しているため、年齢差を気にせず学べる環境が魅力です。
通信制高校は、おもに在宅学習が中心で、単位制を採用している学校が多く、自分のペースで学習を進められます。スクーリング(登校日)の形式や頻度も、学校によって幅があります。時間や場所に縛られずに学べるため、仕事や家庭の事情と両立しやすいのが魅力です。
定時制高校は、通学が必要ですが、昼間部や夜間部など複数の時間帯で授業を受けられる場合があります。夜間部は働きながら通学する社会人や、昼間に別の活動をしている方も多く、多様な背景の生徒と学べるのが特徴です。
いずれの場合も、中退前に取得した単位が認定されれば、卒業までの期間を短縮できる可能性があります。学び直しの負担を軽くするためにも、入学前に単位認定や卒業要件を事前に確認しておきましょう。
高校中退後に再入学するメリット・デメリット

高校中退後に再入学して卒業を目指すことには、メリットとデメリットがあります。再入学しようか悩んでいる方は、以下で紹介する内容を参考に検討してみてください。
高校中退後に再入学するメリット
高校中退後に再入学するメリットは、卒業すれば正式な「高校卒業資格」が得られる点です。高卒資格は、大学・短大・専門学校の受験や、多くの就職活動で必要とされる基本条件となります。資格を持っていることで、将来の選択肢が大きく広がるでしょう。
また、家庭や周囲の安心感が得られることも大きな要素です。「やり直せた」という自信が生まれ、社会生活への意欲や自己肯定感の回復につながります。特に、早い段階で再入学すれば、同世代と同じ時期に卒業できる可能性もあります。
さらに、再入学を通じて新しい人間関係を築いたり、以前とは異なる環境で学び直したりという経験が得られることも魅力です。
高校中退後に再入学するデメリット
高校中退後に再入学するデメリットとして、年齢差による心理的なハードルが挙げられます。再入学時に同級生より年上である場合、なじめないと感じるケースがあります。特に、全日制高校では、クラスの多くが年下になるため、人間関係に気を使う場面が増えるかもしれません。
また、再入学の受け入れに消極的な高校も少なくありません。学校ごとに受け入れ条件や時期が限られており、希望通りの学校に入れないケースもあります。公立高校は募集枠が少なく、私立でも入試や面接の準備が必要になる場合があります。
さらに、一度離れた学習習慣を取り戻すには時間と努力が必要です。進級要件や単位の取り直しが発生すると、卒業までの期間が長引く可能性があります。
再入学は多くのメリットがありますが、自分の状況や目的を踏まえて慎重に判断することが大切です。
再入学以外の選択肢

高校中退後に学歴を整える方法は、再入学だけではありません。有力な選択肢として「高卒認定試験」があります。
以下では、高卒認定試験の概要や試験内容、効率的な勉強方法について解説します。
高卒認定試験とは?
高卒認定試験は、文部科学省が主催する国家試験で、かつては「大検」と呼ばれていました。合格すれば、大学・短大・専門学校の受験資格を得られるため、実質的には高卒と同等の扱いを受けられます。
例えば、高校を中退しても高認試験に合格すれば、大学受験や公務員試験の受験資格を得られるため、学歴コンプレックスを解消することが可能です。再入学に比べて時間や費用の負担が軽いこともあり、社会人や子育て中の方にも選ばれています。
ただし、高卒認定試験に合格しても、高校卒業の資格は得られない点に注意しましょう。進学して卒業しなければ、高校卒業の資格は得られません。そのため、高卒認定試験に合格したあとは、進学する必要があります。
高卒認定試験の試験内容
高卒認定試験は年に2回、8月と11月に実施されます。受験科目は文系・理系・英語を含む8~10科目で、必須科目と選択科目に分かれています。すでに高校で修得した単位がある場合、その科目の受験が免除されることもあります。
大きな特徴は、一度に全科目に合格する必要がない点です。合格した科目は次回以降に持ち越せるため、複数回に分けて計画的に合格を目指せます。
なお、試験日や出願期限は毎年変わりますが、令和7年度第2回試験(11月実施)の出願期限は9月12日までとなっています。受験を検討している場合は、文部科学省の公式サイトで最新の日程と必要書類を必ず確認しましょう。
参考:文部科学省「高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)」
高卒認定試験に合格するための勉強方法
高卒認定試験は、独学でも十分に合格可能な試験です。市販の高認対策テキストや過去問を活用すれば、自宅学習でも効率的に進められます。特に、過去問演習は必須であり、出題傾向をつかむことで効率的な学習が可能になります。
ただし、自己管理が苦手な方や短期間での合格を目指す場合は、塾や予備校を利用するのも有効です。プロの講師による指導や、学習スケジュールの管理、苦手科目の集中対策など、独学では難しいサポートを受けられます。通信講座を利用すれば、全国どこからでも受講でき、仕事や家事との両立もしやすくなります。
また、試験科目が多いため、計画的な勉強を行うことで合格の可能性を高められます。
まとめ
高校中退後の進路として、転入・編入・再入学があります。再入学するか悩んでいる方は、本記事で紹介したメリット・デメリットを参考にしたうえで、慎重に検討しましょう。なお、再入学について不安がある方は、「高卒認定試験」の受験がおすすめです。
高卒認定試験に合格すれば、高校卒業程度の資格を得られますが、「高卒扱い」にはならない点に注意が必要です。そのため、進学を目標としている方にとって、有力な選択肢といえます。
独学で高卒認定試験に合格するには、自己管理力が求められます。勉強計画を立てるのが苦手という方は、予備校や塾に通い、整った学習環境で合格を目指しましょう。