不登校の「無気力型」の特徴や原因、克服する方法とは?

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子どもが不登校になると、保護者は心配になるでしょう。特に無気力型不登校は原因がわかりにくいため、保護者はどう対処すればよいのかわからず、混乱してしまうのではないでしょうか。

しかし、無気力型不登校は、適切に対処すると登校を再開できる可能性があります。登校の再開にこだわらず、さまざまな方法で大学進学を目指すケースもあります。

この記事では、無気力型不登校の特徴や原因、克服する方法を解説します。子どもの無気力や不登校でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

無気力型不登校とは?

無気力型不登校とは?

初めに、無気力型不登校とはどのようなものなのかを見ていきましょう。

文部科学省は不登校を7つのタイプに分類している

文部科学省は不登校を以下のように7つのタイプに分類しており、無気力型不登校は不登校の7つのタイプのうちの一つです。

・学校生活上の影響型
・あそび・非行型
・無気力型
・不安など情緒的混乱型
・意図的な拒否型
・複合型
・その他

文部科学省が令和4年度に実施した不登校に関する調査によると、小学生の50.9%、中学生の52.2%が無気力・不安が原因で不登校になっており、全体の半分以上を占めます。
引用:文部科学省|令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

無気力型不登校の特徴

無気力型不登校の最大の特徴は、不登校になった原因がよくわからない点です。原因がわからないため、保護者はどのように対処すればよいのかがわからないといわれています。

例えば、クラスでいじめを受けているなど学校生活上の影響型の不登校であれば、不登校になったのはいじめを受けていることが原因だと推察されます。この場合、いじめの問題を解決できれば、不登校を克服できる可能性があります。

しかし、無気力型不登校は原因がわからず、「なんとなく面倒だから登校しない」「なんとなく学校に行く気になれない」など、不登校の原因が見当たりません。

見た目は情緒的に安定しており、登校することに不安を感じたり、登校を強要すると怒りを爆発したりすることはなく、保護者様とも普段通りの意思疎通ができます。しかし、何事に対しても無気力になり、「面倒くさい」と考えるようになります。

子どもが「面倒くさい」と考える理由がわかれば不登校を克服できるかもしれませんが、子ども自身でもわからない場合が多いです。

学校生活や勉強に対して何かしら不満があり、自分なりにいろいろ考えてもどうにもならず、考えることを諦めてしまって無気力になってしまうこともあります。

無気力型不登校を克服する方法

無気力型不登校を放置しておくと、長期の引きこもりにつながることがあります。
次に、無気力型不登校を克服する方法を見ていきましょう。

原因を掘り下げず子どもの気持ちに寄り添う

無気力型不登校は原因がわからないことが多いため、原因をあまり深く追求しないようにします。原因を問いただしたり、無理に登校を促したりせず、子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。

無気力になった原因が子ども自身もわからないことが多く、原因を追求しても明確な答えは返ってきません。強く問いただしても、子どもは心を閉じるばかりです。

子どもの気持ちに寄り添って、良好な親子関係を構築することが克服につながります。

無気力型不登校は一気に克服することは難しいため、ステップを踏んで解決に導くのが基本です。

登校再開までのステップは後で詳しく解説しますが、前駆期⇒進行期⇒休息期⇒回復期のステップを踏んで登校再開に導きましょう。

学校や専門家に相談する

子どもが無気力型不登校になった場合、家庭内だけで解決しようとせず、学校や専門家に相談することが大切です。学校の先生やスクールカウンセラー、心理カウンセラー、不登校の専門機関などが相談に乗ってくれます。

専門家は不登校に関する豊富な知識と経験を持っており、子どもに合った具体的なアドバイスや支援が受けられます。

まずは、学校の担任の先生に相談することから始めましょう。子どもにとって学校の先生は大きな存在であり、先生との関係が良好になれば、登校を再開する可能性があります。

また、スクールカウンセラーや心理カウンセラーなどの専門家に相談してみることもおすすめです。専門家に相談することで、保護者の気持ちも楽になるでしょう。

環境を変えてみる

大きな決断になりますが、転校をするなどして環境を大きく変えてみることも、登校再開につながる可能性があります。マンネリの生活が続くと無気力になりがちですが、環境がガラッと変わると、登校の意欲が湧く可能性もあります。

ただし、親だけで勝手に決めず、子どもの気持ちに寄り添って、子どもが転校を希望する場合は親子でしっかりと話し合いましょう。

なお、高校生の場合は、通信制高校に転入するという選択肢もあります。通信制高校は不登校の生徒を受け入れており、通学せずに自宅で勉強を続けられます。また、不登校の生徒向けのサポート体制を整えている予備校もあり、大学受験を目指すことも可能です。

中学生の場合は、フリースクールや適応指導教室に通うなどの方法もあり、詳細につきましては以下の記事をご参照ください。

>>「不登校生が予備校に通うメリット」をチェックする

無気力型不登校の登校再開までのステップ

無気力型不登校の登校再開までのステップ

無気力型不登校は、前駆期⇒進行期⇒休息期⇒回復期のステップを踏んで、登校再開に向かいます。ここでは、登校再開までの各ステップの特徴と、保護者がどう対応するかを解説します。

前駆期

前駆期は不登校の前兆のような時期であり、徐々に登校を渋るようになります。「面倒くさい」「学校に行くのがだるい」というような言葉を発して登校を渋りますが、先述したように原因はわかりません。

原因がわからないため、保護者はどうすればよいのかわからず、葛藤することもあるでしょう。しかし、子どもが無気力な言葉を発しても、責め立てるように接するのはよくありません。

原因を深く追求せず、子どもの気持ちを尊重して、子どもにとって話しやすい雰囲気を大切にしてください。登校しない日が増えてきても無理せず休ませて、「何かあったら話してね」と温かく見守りましょう。前駆期は親子の情緒的な交流を維持することが大切な時期です。

進行期

進行期は不登校が本格化する時期です。不登校が常態化し、引きこもり生活を送るようになります。外出はほとんどせず、部屋のなかに閉じこもってスマホをいじったり、一日中ゲームをしたりして過ごすようになり、家族と顔を合わせる機会も減少します。

生活が不規則になり、昼夜逆転することもあるでしょう。昼と夜が逆転すると親子のコミュニケーションが希薄になるため、会話の機会を作ることが大切です。

引きこもり生活を送っていることを責め立てず、普段通りに接するようにします。子どもは言葉に出さなくても孤独感や不安感を抱いていることが多いため、温かく見守るようにしてください。過干渉は避けるべきですが、無関心でいたり見放したりせず、愛情を持って温かく見守りましょう。

休息期

休息期は、子どもの気持ちが落ち着いてきて、今の状況や自分の思いと向き合える時期です。登校する気持ちにはなれないものの、登校する意欲が徐々に湧いてきます。これまで保護者との会話を避けていた場合も、親子の会話が復活することが多いです。

進級や進学が気になり、ネットで進級や卒業、受験の要件などを調べている場合もあり、子どもと一緒にこれからどうするかを考えましょう。進級については学校の先生とも相談し、進級できる可能性があれば、学校の先生から子どもに伝えてもらうようにします。

進級が難しい場合は子どもの意思を尊重して、フリースクールや適応指導教室、通信制高校など別の進路を、子どもと一緒に考えるようにしてください。

回復期

回復期は、休息期で思い描いたことを実行する時期です。無気力状態から脱却して登校を前向きに考えられるようになっているケースが多く、放課後に学校へ行き、先生と話をすることから再スタートを切るケースもあります。

登校を再開するにあたって、学習の遅れが気になる場合は、学校の先生と相談しながら具体的な解決策を一緒に考えていくことが重要です。現実的な学習計画を作成できれば、最初は無理をせず、少しずつ学習の習慣を取り戻すようにします。

学校だけの学習では不十分で、本人に意欲があれば、塾や予備校に通って、遅れている科目に対して個別指導や補習を受けてみることも検討しましょう。学習が遅れていても、適切なサポートがあれば回復は可能ですので、焦らずに子どもを見守りながら支えてあげてください。

無気力型不登校の克服に予備校が役立つ可能性がある

予備校を活用すると、無気力型不登校の克服に役立つことがあります。ここでは、予備校が不登校の克服に役立つ可能性がある理由や不登校生が予備校に通うメリットを解説します。

予備校が不登校の克服に役立つ可能性がある理由

不登校生を受け入れてくれる予備校があり、予備校に通って学習の遅れを取り戻してから登校を再開することも可能です。学習の遅れが気になると登校を再開するのが不安になることがありますが、予備校で勉強しておくと安心して復学できるようになります。

また、要件を満たせば、学校への出席とみなされる予備校も存在し、出席日数の不足を補えます。このような予備校を選ぶ際は、出席とみなされる要件を慎重にリサーチするようにしてください。

登校再開に向けてのサポートやメンタルケアなども行っている予備校もあり、保護者と一緒に子どもの今後を真剣に考えてくれます。子どもが不登校になると保護者も不安になりますが、予備校のサポートを受けることで気持ちが楽になります。

不登校生が予備校に通うメリット

講師に勉強をサポートしてもらえることが、予備校に通うメリットの一つです。不登校による学習の遅れを取り戻せるだけでなく、高校受験や大学受験の勉強も教えてもらえます。

予備校の講師は勉強を教えるプロであり、学校の先生よりわかりやすい場合もあります。予備校の講師に勉強を教えてもらい学力が向上すれば、自信を取り戻せるでしょう。

また、予備校に通うと、自分と同じ境遇の人と出会えるチャンスがあり、新たな人間関係を構築できます。いろいろなことを話し合っているうちに、復学の意欲が湧いてくることもあるでしょう。

なお、登校を再開できない場合でも、高卒認定試験に合格するための勉強ができる予備校もあり、詳細につきましては以下の記事をご参照ください。

>>「高卒認定が簡単な理由」をチェックする

まとめ

仲の良い高校生男女

無気力型不登校を克服するには、原因を深く追求せず、子どもの気持ちに寄り添って、愛情を持って見守ることが大切です。無気力型不登校は一気には解決せず、前駆期⇒進行期⇒休息期⇒回復期のステップを踏んで、登校再開に向かっていきます。

各ステップにおいて適切に対処することで、無気力型不登校を克服できる可能性は十分あるでしょう。万一登校を再開できなくても、「高卒認定」を取得すると大学進学が可能になります。「高卒認定」の取得をサポートしてくれる塾や予備校をご活用ください。

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