七五三現象とは?高卒認定試験で未来を切り開く方法について
中卒での就職は、高卒や大卒と比べて選択肢が限られてしまいがちです。その背景として、七五三現象と呼ばれる雇用市場の特徴が関係しています。
七五三現象を正しく理解することで、中卒者が直面しやすい課題と克服方法を理解できるようになるでしょう。
この記事では、七五三現象についてわかりやすく解説します。また、高卒認定試験を通じて将来の可能性を広げる方法も紹介しているので、将来の夢を実現させたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
七五三現象とは?
七五三現象とは、就職後3年以内に離職する割合が学歴別に異なる現象を意味する言葉です。具体的には、中卒者が7割、高卒者が5割、大卒者が3割といった具合で、学歴が高いほど早期離職率が低くなる傾向を示しています。この語呂のよさから、「七五三現象」という名称が付けられました。
厚生労働省の調査においても、中卒者の就職後3年以内の離職率が高卒者や大卒者よりも高いことが示されています。七五三現象は、学歴が就職後の安定性や職場定着に影響を与える現実を示唆しており、実際に公的機関によっても確認されている事実です。
引用:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します
企業の人事担当者は七五三現象を認識しており、将来の早期離職を懸念して、中卒者の採用に慎重になる傾向があります。中卒者は、高卒者や大卒者と比べると就職で不利になりやすいため、この記事で紹介している対策を講じることが大切です。
中卒のデメリット
学歴がすべてではないですが、職業や勤務先によっては、中卒の学歴が不利となるケースがあります。具体的にどのようなケースがあるのか、以下でみていきましょう。
仕事の幅が絞られる
中卒の学歴が影響して仕事の選択肢が限られてしまうのは、デメリットの1つといえます。特に、高卒以上を条件とする企業では、書類選考の段階で不採用となり、面接の機会すら得られない場合もあるでしょう。
厚生労働省が公表した令和5年度の調査によると、新規中卒者向けの求人数はわずか784件で、高校新卒者向けの求人数の465,157件と大きく差が開いています。このデータからも、中卒者の選択肢が限られているのは明らかです。
引用:厚生労働省|令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る 求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(9月末現在)
ただし、建設業界や飲食業界など、人手不足が深刻化している分野では、学歴よりも意欲や実務能力が重視される傾向があります。そのため、こうした業界では中卒者でも十分に就職のチャンスがあるといえるでしょう。
昇進が難しい
企業によって異なりますが、一般的には学歴が高いほうが昇進しやすい傾向にあります。特に大企業では、昇進の際に学歴が考慮される会社が多く、後から入社した高学歴者が先に役職に就くケースもあるでしょう。
中卒者が昇進で不利になる要因として、国家資格の取得要件(学歴要件)や、一部の仕事で求められる基礎学力や論理的思考力などが挙げられます。たとえば、高卒以上を要件とする資格が昇進の条件となっている仕事だと、資格を取得できないために昇進の道が閉ざされる場合もあるでしょう。
しかし、中卒であっても実力を発揮して昇進している人は多数います。特に営業職や接客業といった実力主義の職場では、成績や成果が重視されるため、努力次第で管理職のポジションも目指せるでしょう。
生涯年収が低くなる
一般的に、中卒者は生涯年収が低くなりやすいです。厚生労働省が公開している令和5年度の調査によると、高卒の平均賃金は281.9千円、専門学校卒は300.2千円、高専・短大卒は297.4千円、大学卒は369.4千円、大学院卒は476.7千円となっています。これらのデータからも、学歴が高くなるほど賃金が増加する傾向があるのは明らかです。
引用:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
中卒者の賃金データは公表されていませんが、高卒者の賃金を下回る可能性があります。これは、選べる職種や昇進の機会が限られるなどの原因が考えられるでしょう。
ただし、この数値はあくまで統計上の傾向に過ぎません。中卒者であっても、高収入を得ている人は多数存在します。たとえば、営業職のように実力が評価される分野で成功すると、収入を大幅に増やすことは可能です。
偏見を持たれる
中卒者に対して、「勉強ができない」「融通が利かない」などの偏見を持つ人が一定数存在するのは事実です。また、「忍耐力がなく、すぐに諦めてしまうのでは」といったイメージを持たれ、悔しい思いをする人もいるでしょう。
しかし、高校に進学しなかった理由には、家庭の経済状況や個々の事情が大きく影響する場合があり、これらの偏見が事実であるとは限りません。それにもかかわらず、学歴をもとに人を評価する人が存在するため、第一印象で悪いイメージを持たれやすいのも現実です。
学歴が第一印象に影響を与える一方で、実際には人の価値は学力だけでは決まりません。能力を磨いて学歴に対する偏見を覆せば、社会で成功する道を切り開けるでしょう。
中卒者が偏見を持たれる可能性があることは、以下の記事でも紹介しています。気になる人は確認してみてください。
>>中卒者が感じる「あるある」や立ちはだかる壁を解消する方法を紹介!
中卒の壁を乗り越えるにはどうすればよい?
中卒であっても、社会で成功できる道はあります。ここでは、中卒の壁を乗り越えるための具体的な方法についてみていきましょう。
中卒が活躍できる場所で努力する
中卒でも偏見を持たれにくく、活躍できる職場は数多く存在します。たとえば、2024年現在、中卒者の採用を積極的に行っている業界として挙げられるのは、建設業や工事現場、飲食業です。
人手不足が深刻化しているのも理由として考えられますが、こうした業界では若手が貴重な人材として期待されることが多く、努力次第で昇進や昇給のチャンスを掴めるでしょう。
特に、建設業では技能を磨いて資格を取得すれば、給与が上がるだけでなく、将来的に独立も目指せます。飲食業では店舗経営に関するノウハウを学び、自分の店を開く道も夢ではありません。
また、ハローワークでは中卒者が活躍できる職場を紹介してくれることがあり、ジョブカフェに代表される若者を対象にした職業相談機関も利用できます。
高卒認定試験に合格して進学する
中卒の壁を乗り越えるために、高卒認定試験に合格して大学に進学する道もあります。高卒認定試験に合格すれば、高校卒業程度の学力があると認められ、大学や専門学校への進学資格を得られます。
ただし、高卒認定試験に合格するだけでは高校卒業の資格を得られず、正式な学歴は「中卒」のままです。大学に進学して学位を取得したタイミングで、最終学歴を「大卒」に更新できます。
注意点として大学を中退すると、最終学歴が「中卒」になってしまう点が挙げられます。高卒認定試験に合格すると中卒の壁を乗り越えられますが、合格後も努力の積み重ねが大切であることを忘れてはいけません。
高卒認定試験を受けたほうがよい理由
中卒の状態で就職するよりも、高卒認定試験の受験をおすすめします。その理由は、高卒認定試験に合格すると進学や就職の幅が広がるためです。
中卒の状態では、理想とする職業があっても採用されにくいという現実があります。しかし、高卒認定試験に合格後に大学に進学して学位を取得できれば、最終学歴は「大卒」になります。その結果、就職の選択肢が増えるでしょう。
夢や目標であった職業に従事できる可能性も高まるため、大学に進学してから就職するのがおすすめです。
高卒認定試験の難易度はそれほど高くなく、基本的な内容を理解できれば十分に合格を狙えます。しかし、難易度は高くないといっても、高卒認定試験は広範囲から出題されるので、効率的な学習を行わなければなりません。
高卒認定試験に確実に合格するためにも、予備校や塾に通うのがおすすめです。予備校や塾では、高卒認定試験の合格に特化した学習ができ、短期間で合格できる可能性が高まります。
まとめ
七五三現象とは、高学歴になるほど就職後の早期離職率が低くなる現象を指し、中卒者が就職に際して不利になりやすい現実が示されています。
しかし、活躍できる場所を見つけて努力を重ねたり、スキルを磨いたりしていけば、中卒の壁を乗り越えることが可能です。
また、高卒認定試験に合格し、その後大学に進学すれば、理想とする職業に従事できる可能性が高まります。将来の夢を実現するためにも、高卒認定試験に合格して進学を目指しましょう。